東京地方裁判所における「世界平和統一家庭連合」の解散命令の決定について

令和5(2023)年10月13日に文部科学省から東京地方裁判所に行われた、世界平和統一家庭連合に対する解散命令請求について、本日、同裁判所において解散を命じる旨の決定がなされました。

令和4(2022)年9月1日付の理事長談話でお示ししたとおり、宗教法人は、公益法人の一つとして社会に認知される一方、法人運営では適正な管理運営、説明責任、情報開示を行い、法令を遵守することが求められております。今回の裁判所の決定は、これまでも司法において「悪質性」「組織性」「継続性」などの要件により反社会的一面を持つと判断されてきた団体が、宗教法人法81条第1項等に定める解散事由に該当し、公益法人としての保護を与え続けることはできないと司法が判断したもの、と受け止めております。

公益法人である宗教法人は、法令を遵守し、信者の皆さんをはじめとして、社会全体に対して責任ある運営をしていくことが求められています。わが国において、宗教法人のための制度が設けられ、法人格を認められてきたことは、宗教法人に対する社会の皆様からの期待と信頼の下にあったことが、このたびの決定によって再確認されたものと受け止めております。

また、令和5(2023)年11月22日付でお示しした当連盟の見解の通り、「本来の活動を逸脱し、公共の福祉に反していると客観的に判断された宗教法人が、現行の民事手続きの中でその財務の透明化を図り、被害者救済に応えていくことは、社会的責務」であると考えており、今後この団体が清算手続等を通じて誠実に被害者の方々に向き合い、被害者の方々の救済が実現されることを願っております。

この団体は日本宗教連盟の加盟団体ではないものの、当連盟では今回の問題を受けて、より一層、適正な宗教法人運営と、宗教の本質的な役割の重要性を再確認し、公益法人として不適正な事案を発生させることがないよう、引き続き加盟団体とともに、常に自戒し、襟を正して参ります。

 

令和7(2025)年3月25日

公益財団法人 日本宗教連盟

理事長談話「不活動法人の問題と、適正な管理運営の推進について」

昨今、不活動状態にある宗教法人を中心として、宗教法人格の売買とそれに伴う反社会的勢力による犯罪の温床化を懸念する各種報道があり、世間で注視され、問題視されています。宗教文化振興と宗教文化を支える宗教法人の適正な管理運営を推進する本連盟としては、このような状況を看過できないものと考えています。よってここに、談話を示し見解を申し上げます。

宗教法人制度は、日本国憲法第20条が国民に保障する信教の自由に基づき、宗教団体の担う活動が公益に資する意義深いものであるとの前提に立ち、宗教法人法の基本的理念である「自治の尊重」のもと、他の法人制度と比しても柔軟かつ自由度の高いものとして形作られていると認識しています。

加盟団体、及び、当連盟協賛5団体関係の宗教法人は、予てより適正な法人管理と運営に勤しまれており、日本宗教連盟理事長として深く敬意を表しております。ご承知のように18万件の宗教法人の収入の実態は約70%が500万円以下です。また各々の社寺教会での従務者は3名以内である法人が80%を占める、誠に小規模で零細な法人がほとんどです。

また、不活動宗教法人への対策については、宗教法人が不活動化する要因には日本全体の人口減少、少子高齢化と過疎化の進行など様々なものがあり、宗教法人側のみで解決することが難しい状況もあります。現在、包括宗教法人を中心にその解消に向けて取り組んでおられるものと拝察いたしますが、本連盟としても文化庁宗務課と連携を密にとり、活動再開の叶わない法人については国の協力体制の強化などを要請し、不活動宗教法人の減少に取り組んで参りたく存じます。

尚、一部では「宗教法人は税金を一切払っていない」「宗教法人法に宗教法人の売買を規制する規定はない」など、一般の方々に誤解を与えかねない報道もあります。そもそも宗教法人の税制は公益法人の税制度が適用されており、宗教活動の用に供される礼拝施設及び境内地には登録免許税や固定資産税が免除されています。その一方で、宗教法人といえども、その雇用する職員の給与に対する源泉徴収義務が課され、また宗教活動の用に供していない不動産には租税が賦課されており、かつ、目的に反しない限り行うことができるとされている収益事業を営む場合においては、他の営利法人等と同様、固定資産税や法人税等の納付を行っています。

更に、他の公益法人と同様に制度上、法人格の売買は不可能です。もし法人が売買されたという事案があれば、それは宗教法人法の趣旨を逸脱した行為であり、不当な手段を用いた「法人の乗っ取り」によるものである可能性があります。このように、遵法精神を欠いた一部の心無い者によって本来の宗教活動と相容れない形で宗教法人制度が悪用され、それによって大多数の善意の宗教法人までもが疑わしいものであるかのように誤認されることは、大変憂慮すべき事態であると思料いたします。

当連盟と協賛5団体関係の宗教法人としては、自らが率先して襟を正し、常日頃より適正な法人運営を心掛けることにより、このようなあらぬ批判を受けることなく、信者並びに宗教者の信教の自由を保障している現在の宗教法人制度を維持できるよう行動することが不可欠です。

そのため本連盟では今後も、公益性の高い宗教法人において役員が就任するにあたっては、「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」等の定めにある「役員等の欠格事由」を参考として、

・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員等

・宗教法人法第81条第1項第1号及び第2号前段に規定する法令に違反して著しく公共の福祉を害し、又は、宗教団体の目的を著しく逸脱したものとして解散を命ぜられた法人の役員であった者

を役員とすることは引き続き控えるよう、重ねて周知して参りたく存じます。

健全、かつ、適正な宗教活動及び法人運営に勤しまれている5団体の関係の宗教法人におかれては、引き続き氏子、檀家、信者、信徒に信仰者として寄り添っていただき、より適正な法人運営にお努めいただきますようよろしくお願い申し上げます。

令和5年5月22日

                        公益財団法人 日本宗教連盟

                         理事長  宍野史生

理事長談話「トルコ南東部で発生した大地震について」

2023(令和5)年2月6日、トルコ南東部のシリア国境近くで発生したマグニチュード7.4の地震で、トルコとシリアの両国で多くの人々が被災し犠牲になられました。
ここに日本宗教連盟を代表して衷心より哀悼の誠を捧げます。
いまだ余震が続く状況下で人々が不安と悲しみの中に居られることに深く思いを致します。
突然の災害で避難生活を余儀なくされている人々に、心よりお見舞い申し上げますとともに連帯の思いを表します。

令和5(2023)年2月7日

公益財団法人 日本宗教連盟
理事長 宍野史生

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