世界平和統一家庭連合(旧統一協会)の被害者救済のための法律案について

今般、世界平和統一家庭連合の被害を訴える数多くの人々の意見を聴取した上で、文化庁が法人運営の面で問題があるとして解散命令を請求するに至りました。

もとより日本宗教連盟では、宗教が本来の宗教活動を逸脱して、むやみに人々の不安をあおって寄附や献金を募るような行為は厳に慎まれるべきものであると考えております。もしそのような行為によって精神的及び財産的に被害を受けられる方々がいらっしゃるのであれば、その被害救済の議論にあたっては、物心両面からの支援が必要であることは言を俟ちません。そして私たち宗教者は、被害者の精神的なケアに努めるとともに、社会の信頼を損なわないためにも適正な法人運営に努めてゆくことが肝要であると存じます。また、日本宗教連盟ではこれまで加盟団体とともに法令遵守の姿勢をもって活動してきましたが、今後も引き続き周知徹底に努めて参ります。

一方、現在、与野党から被害者救済に資することを目的に関連した法案が提出されています。一部法案では、会社法の準用が議論されていると聞き及んでいますが、そもそも会社法は利害関係人の権利利益の保護に基づいて制定されたものであり、信教の自由という憲法に定められた基本的人権を最大限尊重し、公益法人の一つとして存立している宗教法人とはその根拠法を含め、根幹が全く異なります。

信教の自由を含めた精神的自由は、最大限保障される権利であるとされています。そのような精神的自由に何ら配慮することなく、会社法の保全の規定を宗教法人に乱暴に当てはめることはあってはならず、また利害関係人の解散命令請求を受けた利害関係人による保全申立てを認めることは、濫訴による混乱も招きかねないと危惧します。

尚、法に定める本来の活動を逸脱し、公共の福祉に反していると客観的に判断された宗教法人が、現行の民事手続きの中でその財務の透明化を図り、被害者救済に応えていくことは、社会的責務であると思料いたします。

今後の法案の議論においては、制度を必要最小限な範囲にとどめ、健全な宗教活動に努めている多くの宗教法人に不要な不安を招かないようご配慮いただきたいと存じます。

 

 

令和5(2023)年11月22日

         公益財団法人 日本宗教連盟