臓器移植法改正問題に対する重ねての意見
日本宗教連盟は、4月17日に「臓器移植法改正問題に対する意見書」を発表いたしましたが、今国会での臓器移植法改正案の国会での審議にあたり、宗教者の立場から以下のとおり、重ねて意見を申し上げます。
- 多くの日本人が死の三徴候(心拍停止・呼吸停止・瞳孔散大)をもって、「人の死」を受け入れている状況のなかで、法律で脳死を一律に「人の死」と規定すべきではない。
- 臓器の移植は、個々人の死生観と深く関わることから、「本人の書面による意思表示」は、脳死臓器移植にとって欠くことのできない絶対条件である。
- 脳死段階での小児からの臓器移植については、大人と異なり子どもが蘇生力に富んでいることから、より厳格な脳死判定の基準の導入、被虐待児を対象としないなど、脳死判定基準の検証をはじめ子どもを保護するシステムを検討すべきである。
- 以上3点を踏まえ、移植年齢の引き下げなど、わが国の脳死臓器移植が直面している諸問題を解決していくために、「第2次脳死臨調」を早急に設置し、集中的な検討を始めるべきである。
臓器移植法の改正は、国民一人ひとりの死生観に及ぼす影響が大きいことから、問題点を残したままでの採決は、将来にわたり日本人の死生観の形成に禍根を残すものとの危惧の念を禁じえません。ひとえに秀抜なるご見識をもって慎重にご判断なされることを、強くお願いするものであります。
平成21年6月1日
東京都港区芝公園四丁目7-4明照会館内
財団法人 日本宗教連盟
理事長 岡 野 聖 法