4月1日開催の関係団体シンポジウム後援 <災害と宗教>

日本宗教連盟 【後援】 宗教者災害支援連絡会主催シンポジウムのご案内

本シンポジウムは、盛会のうちに終了いたしました。ご参加くださいました皆様に御礼申し上げます。

 

日本宗教連盟は、令和3(2021)年4月1日に開催の宗教者災害支援連絡会設立10周年記念シンポジウム「東日本大震災と宗教者の支援活動の新たな地平」(主催:宗教者災害支援連絡会、共催:「宗教と社会貢献」研究会)を後援しております。

以下のとおりご案内いたします。

宗教者災害支援連絡会主催シンポジウム「東日本大震災と宗教者の支援活動の新たな地平」

日 時: 2021(令和3)年4月1日(木) 17:00~20:00

形 式: オンライン(Zoomミーティング)

主 催: 宗教者災害支援連絡会

共 催: 「宗教と社会貢献」研究会

後 援: 日本宗教連盟

主旨: 東日本大震災から10年が経過しました。宗教者災害支援連絡会は2011年4月1日に設立され、宗教者、宗教研究者らが協力しながら、東日本大震災・福島原発災害の支援活動の充実のための情報交換に努めてきました。

被災者の苦悩や悲嘆はなお続いており、なおも支援活動は求められています。発足10年を記念するこのシンポジウムでは、そうした被災者の状況を思いやりつつ、この10年の東日本大震災・福島原発災害の支援活動を振り返り、被災者と支援者の新たな関わりのあり方を考えていきたいと思います。

また、その後に発生した熊本地震(2016年)、西日本豪雨(2018年)などの宗教者・宗教団体の災害支援の情報交換についても視野に入れながら、宗教者・宗教団体と行政や宗教以外のさまざまな支援者との連携や、防災活動の前進についても考えていきたいと思います。

【プログラム】

挨拶・趣旨説明  島薗進(宗教者災害支援連絡会・代表)

黙祷

発題

(1)戸松義晴(日宗連理事長、全日本仏教会理事長) 「東日本大震災以後の日本宗教連盟の取り組み――宗教と公共性」

(2)篠原祥哲(世界宗教者平和会議日本委員会事務局長) 「『つながり』が生み出す災害後の回復力:求められる『顔の見える支援』」

(3)千葉望(陸前高田市の真宗大谷派正徳寺出身のノンフィクションライター) 「コロナ流行下で迎えた陸前高田の震災10年」

(4)山尾研一(キリスト全国災害ネット世話人、クラッシュジャパン副代表理事・事務局長) 「東日本大震災後のキリスト者の災害支援について」

コメンテータ: 稲場圭信(大阪大学大学院人間科学研究科教授)

閉会挨拶    岡田真水(兵庫県立大学名誉教授)

司会      黒崎浩行(國學院大學神道文化学部教授)

参加費:無料

参加申し込み方法:宗援連のホームページにある「リンク先フォーム」でお申し込みください。

リンク(宗教者災害支援連絡会HP) → https://sites.google.com/site/syuenrenindex/

<日本宗教連盟の「災害と宗教」の研究>
平成23(2011)年3月の東日本大震災の傷跡は大きく、10年たった現在も復興は道半ばであります。震災直後から、避難所となった寺社仏閣、教会等は多く、また、宗教者や宗教法人・宗教団体関係者によって、被災地の救援・支援活動、被災者のこころのケアなどが行われてきました。
大規模災害の救済・支援は、宗教各派を超えた連携協力と情報交換が必要となります。「宗教者災害支援連絡会(略称:宗援連)」は、宗教関係者による災害支援活動の充実を図るために宗教者、並びに、宗教研究者・宗教学者の協力のもと平成23年4月1日に発足した団体です。
今回は、同会の発足に携わった日本宗教連盟関係者(当時の事務局長)も発表に加わります。

当連盟では、寺社仏閣、教会等の地域コミュニティーが災害時において果たす役割を考察し、日常的な地域の文化交流の場として連携することの重要性を認識し、公益目的事業を展開しております。宗教法人の災害時対応や、防災、減災の取り組みなどの社会貢献活動に係る調査研究・分析などを行い、宗教法人の思想、文化、役割等を通じて、宗教団体のみならず広く一般公衆へ宗教文化の振興を図ることとしております。

第5回宗教の公益性に関するセミナー コロナ禍における宗教活動を考える―ウィズ・コロナの時代の宗教の在り方―【概要】

第5回宗教の公益性に関するセミナー

コロナ禍における宗教活動を考える

―ウィズ・コロナの時代の宗教の在り方―【概要】

 

【注意】本セミナーの内容は令和2年11月26日現在の情報です。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況や治療・検査・ワクチン等の情報は日々更新されるため、最新の情報を確認してください。

新型コロナウイルス感染症の第三波ともいえる感染拡大の厳しい状況が続き、終息の傾向がみられないなか、冬を迎えようとしている令和2年11月26日に、当連盟ではインターネットによるウェブセミナー(Zoomウェビナー)を開催し、感染症学の専門家によるご講演をいただいた。感染を抑えながら、できるだけ通常の生活が行えるような対策のあり方について、およそ150名が参加し情報を共有した。

 

「COVID-19との対峙―感染しない、感染させないための知識―」
  舘田一博・東邦大学医学部 微生物感染症学講座教授

 

【経緯】

令和元年(2019)年11月頃に、中国・武漢市の海鮮市場周辺で謎のウイルス性肺炎が確認されたという報道から、令和2年2月14日の時点で、新型コロナウイルス感染症の感染者は6万4千人、死者は1300人、その99%が中国での感染であった。その後、世界中にウイルスが広がりパンデミックという状態になった。11月21日には、アメリカ、ブラジル、インド、ヨーロッパの国々に感染が拡大し、これまでに感染者は5千600万人、140万人以上が亡くなったと報告されている。日本は第一波、第二波を乗り越え、第三波を迎えようとしているところだ。第一波の死亡者数は多く、第二波は死亡者数が少ない。これはフランスやスペインなどの国々でも同様の報告があるが、一方、南半球のオーストラリアでは、冬に起きた第二波の死亡者数が多く、冬に流行した時には死亡率が高いことが示されている。

日本では、令和2年4月に緊急事態宣言が出されたが、「不要不急の外出を控える」という「お願い」ベースでこの第一波を乗り切ることができたため、海外ではジャパニーズ・ミラクルと呼ばれたようだ。海外ではロックダウンや強制的な自宅待機をやらざるを得なかった。11月25日の時点で日本の感染者数は13万人を超え、死亡者数は2千人を超えている。東京都、大阪府、北海道といった大都市の人口密度が高いところに感染の広がりが多くみられ、一方、鳥取県、秋田県、山形県など地方の県では、いまもその感染者数が少なく維持されている。

【感染症の症状と特徴】

欧米と同じで高齢者に死亡者数が多く、10代とそれ以下の子どもたちの感染は、かなり少ない。感染数の最多は20代であり、死亡者数は70代、80代とそれ以上の年代が多い。東京大田区にある東邦大学医療センター大森病院ではいくつかのクラスターを経験した。その一つの事例が屋形船でみられたクラスターである。令和2年1月18日寒い日、密閉した屋形船の空間で食事をしてお酒を飲み、カラオケを歌って大騒ぎをしたときに、三密の状態が起きて感染のクラスターが生じた。東邦大学でも患者を受け入れたが、この感染症は肺炎にとどまらず、全身の病気を引き起こすということが知られている。亡くなった方の12人中、7人(58%)が深いところにある静脈(血管)に血栓症が認められる。また、血管の内皮細胞にも感染して、それがいろいろな臓器の障害を引き起こし、病態の悪化、重症化につながる。そのため、高齢者や基礎疾患がある人が感染すると亡くなるリスクが高い。

この新型コロナウイルスは、最初はインフルエンザと同様に、咳やくしゃみ、あるいはその汚染された手で目、鼻、口を触る接触感染で感染すると考えられていたが、咳やくしゃみの接触感染に加えて「おしゃべり」で広がることが分かった。特に近距離や大きな声でのおしゃべりの時に出てくる「マイクロ飛沫」という唾液の粒の飛散によって感染が広まることが明らかになった。したがって、マスクをすることでマイクロ飛沫を効果的に抑えることができると報告されている。現在、日本では屋外でおしゃべりするときも必ずマスクをするという習慣ができてきている。幸いなことに日本はマスク文化が定着しつつあり、令和2年1月、2月の時もインフルエンザや花粉症対策で、皆がマスクを着けていた。

感染については「三密」密集、密接、密閉、がそのリスクになる。「近距離での大声」、「不特定多数の濃厚接触」、「換気の悪い環境」その例が屋形船であり、立食パーティー、ライブハウス、居酒屋といったところだ。最近ではそれに加えて夜の街やカラオケなど声出し系のクラスター、医療施設でのクラスター、第二波では接待を伴う飲食店が問題になっている。さらに、ウイルスが市中に逃げ出して、市中で広がっている。友達同士の会食、職場の休憩所で油断をしたとき、学校などでは、合宿所など集団生活の場で感染が広がっている。子どもたちの感染が心配されたが、学校や保育園、幼稚園で子どもたちの間で感染が広がるということは非常に限られている。実は子どもたちは、家族のなかでの感染、父母など大人からの感染が多い。

一番問題なのは、ウイルスを持った無症状の感染者が三密の状態で感染を広げることだ。いままさに“隠れCOVIT-19”のフェーズ、市中感染、感染蔓延期に入ったという状況だ。元気なように見えてもすべての人が感染していると考えて、そばで話すときはマスクを使うことが重要だ。また、コロナウイルスはもともと風邪のウイルスであり、乾燥した寒冷の冬に流行することが知られている。

感染の診断法に関しては、現在PCRという遺伝子検査法、ウイルスの抗原を見つける抗原検査、血液中のウイルスをやっつける蛋白を調べる抗体検査がある。また、唾液を用いた高感度で迅速にできる抗原検査が承認されたのは一つ進歩したと言える。検査は、熱、味覚や嗅覚の異常、倦怠感の症状がある人のほか、のどの不調、鼻水などの症状でも検査できる。無症状でもクラスターの近くにいた場合や、医療従事者、入院患者、高齢者施設の人も積極的に検査できるようになったので、係りつけ医に相談して検査を受けるとよい。

新しい治療薬の開発も進んでいる。ウイルスの遺伝子増加を抑える抗ウイルス薬のレムデシビルは承認されており、いま、アビガンやファビピラビルという薬が、臨床試験の最終段階だ。まだ確立した治療法がないにしても、抗ウイルス薬をはじめ、ウイルスによる強い免疫応答を抑えるための抗サイトカイン・ストーム薬としてステロイド(免疫抑制剤)やリュウマチの治療薬、あるいは喘息の治療薬を使ったり、血栓を抑えるような抗凝固療法などをコンビネーションで使って治療を行っているのが現状だ。さらに、ワクチンの開発も進んでいる。最近報告されたアメリカのモデルナ社、ファイザー社だけではなく、中国、イギリス、フランス、そして日本でもワクチン開発が進んでいるが、限られた成績しかわかっていない。今の段階では過剰な期待は抑えて、冷静に対応していくことが重要になってくる。特に、有効性とともにどんな副作用が出てくるのかわかっていないのだ。

【ウィズ・コロナの生活】

さて昨日の分科会で、いま令和2年11月現在第三波を迎えている状況の中で、感染の増加が急激になっていることから、これからの2、3カ月が非常に重要だと確認された。「ハンマーとダンスの戦略」と言われているが、急激に感染が増加した時はそれを強いハンマーでたたいて抑える。緊急事態宣言のようなことをやる。一方で、抑えられているときはダンスを踊るように一緒に生活、ウィズ・コロナの生活をしなければいけない。また増加してきた時は強いハンマーで抑える。次のハンマーをいつ使うのか、状況を見ながら政府はその対策を取っているところだ。

感染症対策は国の力だけではどうすることもできない。一人ひとりがこの感染症のリスクを考えて、生活様式を変えていくことが重要となる。ユニバーサルマスクと言われるように、人と人とが話をするようなとき、接触するようなときはマスクを使う。電車のなか、バスの中でもできるだけ距離を取る。距離が取れないときはマスクをして、おしゃべりは最小限にしなければいけない。換気をしっかり行う。また、デリバリーの食事やオンラインの会議、ウェブのセミナーを利用するなど工夫する。感染対策を何重にも組み合わせて、感染を抑えることが大事だ。感染リスクが高まる「5つの場面」について、①飲酒を伴う懇親会の場、②大人数や長時間におよぶ飲食、③マスクなしでの会話、こ④狭い空間での共同生活、⑤居場所の切り替わりについては注意する必要がある。

このウイルスは、感染している人と電車の中で隣同士に座ったとしても、お互いにマスクをして話をしていなければ、感染が広がることはない。だから、過剰に恐れることなく、正しく感染を恐れるということが重要になる。

新型コロナウイルスは、人や社会、国に分断を引き起こすウイルスであり、その分断が差別や偏見を引き起こすということが知られている。どうやってこの差別や偏見を抑えていくのか。この問題は宗教界でも考えていただきたい問題であり、宗教の力、信じる力で大事な責任や役目を果たせるのではないかと思う。もちろん、われわれ医療関係者も行政と一緒になってこれを防いでいかなければならないという責任を感じている。市民と行政、専門家の温度差があるならば、それを埋める情報発信に努めていかなければならない。

日本は協力ができる国であり、あの緊急事態宣言の時にもお願いベースで感染拡大を抑えることができた。その「国民性」という力を信じたい。一方で、この国民性が同調圧力になったり、自粛警察になったりということで、差別や偏見を生みやすいという特徴もある。そういったことが起きないように、我々も国民性をさらに高めていく活動を起こしていくことが重要だ。ピンチをチャンスに、技術や革新、連携、協力をさらに高めて、より感染症に強い社会を、国を、そして世界を作っていかなければならない。

質疑(抜粋)

質問

住職や牧師、教師といった宗教者が、人前で説教、説法する時はマスクをした方がよいのか、マスクをしないのであれば、ソーシャルディスタンスとして、参列者席との間にどのくらいの距離をとればよいのか。

舘田先生

1、2メートル以内でマスクをしないで15分以上話しをすると感染のリスクが高まるといわれている。2、3メートルとうまく距離を保つか、距離が保てない場合はアクリル板を使い、換気にも気を配る。「ゼロリスク」はない。マスクの利用など何重にも感染対策を考えリスクを下げる対応が大事だ。

質問

宗教の役割として「病者を見舞う」ということを重要だと考えている。今現在、感染者が病棟に入ってしまうと家族ですら面会することが難しい。もちろん看護師や医師がそばにいるため大きな慰めになっていると思うが、そこに宗教者が全く携わることができない状況が半年以上続いている。医療体制の中で看取りなどが必要ではないかという議論は、医療界の中であるのか伺いたい。

舘田先生

非常に大事な問題だと私は考える。患者や、老人ホームにいる高齢者と家族が会えない。亡くなるときに家族にお別れを言えない。あるいは、亡くなったあと葬儀の時にお骨になってはじめて家に戻ってくるようなことが起きていると聞く。だいぶ改善しているようだが、これは非常に悲しいことだ。患者や高齢者はご家族と面会して話をすることでどれだけ力をもらえるだろうか。この感染症は特徴を知れば感染を最小限に抑えることができるため、感染対策をしっかりととりながら、お別れなどができる仕組みを考えていかなければならない。私も大田区との連携のなかで、葬儀社の対応が難しいと感じている。亡くなった人は息をしていないのだから、そこからウイルスが出てくることはない。そのような理解のうえで、怖がりすぎず正しい対応を一緒に考えていければと考えている。

質問

亡くなられた方の葬儀は宗教的な意味だけでなく、亡くなられた方の尊厳としても非常に重要だ。令和2年4月の時点で、厚生労働省からご遺体の扱いなどのガイドラインが示された。そこには感染防止ができていればご遺族の意向に沿って葬儀などもできると書いてあるが、実際はできていない。もし、ご遺体からウイルスが拡散しないということが科学的、医学的に間違いないのなら、遺族が濃厚接触者でなくて、ウイルスが拡散しないような対策ができていれば、せめて葬儀ぐらいできればと思う。亡くなられた方にも、家族にとっても一生に一度のことだ。宗教界から厚生労働省なりに申し入れをするなどして、何とか改善したいと思うが、いかがお考えか。

舘田先生

宗教に関わる方たちから、ぜひ提言書なりを出していただき、一生に一度の最期の時に、ご家族の方たちとのお別れをどのように迎えるか、尊厳が与えられるような対応がとれるような仕組みにしていかなければならないと思う。今回いい機会をいただいたので、私は皆様のそのお考えに賛成なので、一緒に提言書を出してもいいと思っている。

舘田先生

この状況は、何年か先には元に戻るようになると思う。つまり、この新型コロナウイルスが第5番目の風邪のウイルスになるような時期が将来は来ると考えられる。しかし大事なのは、私たちはこの経験をどのように我々の叡智に変えていくのかということ。ピンチをチャンスに、これを乗り越える過程での経験を踏まえて、もう少し感染に強い、よりよい社会にしていかなければならない。だから前向きに考えていくこと。なかなか難しいが、それをできるのが宗教の力だと思うし、我々の人間としての力になると思う。

(令和2年11月26日現在)

公益財団法人日本宗教連盟

「第5回宗教法人の公益性に関するセミナー」要旨  (文責事務局)

令和2(2020)年11月26日・Webで開催(Zoomウェビナー)

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