平成19年度 年頭所感
「新年を迎えて」
財団法人 日本宗教連盟 平成19年度理事長 杉山一太郎
謹んで新年のお慶びを申し上げます。
旧年中は、本連盟の各面に格別の御高配を賜りましたことを、厚く御礼申し上げます。
近年、重要な法案が次々に改正されましたが、日宗連では信教の自由と政教分離の原則のもと、宗教に関連する重要な諸事項について、慎重な協議・勉強会を重ねて参りました。
公益法人制度改革三法の運用に係る政令・府令の問題をはじめ、公益法人税制改正への対応や、脳死・臓器移植法改正問題、新しい教育基本法に伴う学習指導要領の改訂など、大きな案件には質問書・意見書・要望書等の提出や、意見発表をもって、宗教界の意志を明確に披瀝しております。
昨年十一月末に中央教育審議会・教育課程部会において、「教育課程部会におけるこれまでの審議のまとめ」に対する意見発表を行いました。その審議のまとめでは、学習指導要領改訂の基本的な考え方として「生きる力」をはぐくむという理念をあげております。その一つに、「自らを律しつつ、他人とともに協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性」の育成がありますが、これは、子供の教育に限って言うことではないでしょう。
豊富な物質が溢れる環境に浸っている現実の社会では、貴さへの心、有難さへの心が失われてゆき、物質や周囲への思いやりだけではなく、神仏・自然から授けられた「生命」への貴ささえも失われてしまいます。
現実の社会が宗教から離れ、心が失われてゆく今こそ、宗教の役割の重要さを確信し、教宗派を超えた宗教協力の結束も尚更に、心の癒しと現実の和による心豊かな環境復帰への一歩ずつを踏みしめ乍ら歩み続ける大切さを覚えます。
協賛五団体及びその他の団体との親密な提携を掲げる本連盟では、教誨事業功労者表彰をはじめとする、関係諸団体の事業への協力ほか、文化庁や関係省庁に対する協力など、招請を受けた団体には積極的に連携して尚一層の親密増加と相互協力を重ね、宗教文化の振興を願い、活動を広げてゆく所存でございます。
本年もまた格別の御高配を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
(平成19年度『日宗連通信』より)