平成29年度 年頭所感

平成29年度 年頭所感(平成30年1月)

「立春を迎え…」

公益財団法人 日本宗教連盟 平成29年度理事長 芳村 正德

 

謹んでご挨拶を申し上げます。

日本宗教連盟の活動に対して格別のご高配を賜り心より御礼申し上げます。

本連盟は、信教の自由の尊重と擁護及び政教分離の原則のもとに、宗教文化の振興を図り、道義に基づく豊かな社会の形成に寄与し、もって世界平和の確立に貢献することを目的としておりますが、昨年十二月十一日には「第八回宗教と生命倫理シンポジウム」として「生殖技術―『自然』から新しい倫理の模索へ」を開催し、数多くの皆様のご参加を頂く中で、「情報化により価値観が多様化する社会において生命の尊厳と生命倫理をいかに考えるか」に焦点を当て問題提起をいたしました。また今期中に宗教文化セミナーとして海外から日本文化を俯瞰しつつそこから宗教に焦点を当てるといったテーマで企画を立ております。

日本の文化が海外で紹介される機会は近年ますます増加し、海外からの渡航者も増え二〇一九年のラグビーワールドカップ、そして二〇二〇年の東京オリンピックの開催によってさらに世界から注目が集まる中で、外から内への視点を交えながら日本文化を宗教文化から今一度見つめ直す一助になればと思いますので皆様のご参加をお待ちしております。

さてここで改めて平成二十九年を振り返りますと残念なことに世界の各地で非常に多くのテロ行為が行われた一年でした。また北朝鮮のミサイル発射は過去に例を見ないほどの回数を数え中国の不穏な動きも活発化しており、我が国を取り巻く国際情勢は今後ますます不安がつのります。

平成三十年は明治に改元してからちょうど百五十年に当たりますが、数多くの御製を残された明治天皇は日清戦争終結後、そして日露戦争開戦の二年前、四十九歳を迎えられた明治三十五年に次の大御歌を詠まれています。

『やすからむ世をこそいのれ 天つ神 国つ社に幣をたむけて』

ここにはこの世の平和を神々に御親ら深く祈る御心が詠われております。

今後の動きを見守りつつ、宗教者一人一人がこの世の平和を祈りながら加盟五団体のより緊密なる協調によって豊かな社会を作って行きましょう。

平成三十年が皆様にとりまして益々ご繁栄に年になりますことを祈りつつ本年も本連盟に対してより一層のご理解とご協力を賜りますようお願いいたしましてご挨拶とさせていただきます。

(教派神道連合会理事長)