意見2 特別の教科 道徳 に関すること
平成29(2017)年3月15日
文部科学省
初等中等教育局教育課程課 御中
公益財団法人日本宗教連盟
理事長 植松 誠
【中学校学習指導要領案について】
意見2 (特別の教科 道徳 に関すること)
中学校学習指導要領案の「特別の教科 道徳」について、意見を申し上げます。
本連盟は、昨年10月31日、「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」について、中央教育審議会・教育課程企画特別部会における意見表明を行い、「伝統や文化に立脚した広い視野を持ち、志高く未来を創り出していくために必要な資質・能力」を育む教育を目指すのであれば、伝統・文化の根底にある我が国の宗教に関しての公正公平な「宗教知識教育」と「宗教文化教育」の推進は避けて通ることはできないと考え、さらなるご審議をお願い申し上げました。
しかし、「中学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編」(平成27年7月・文部科学省)の60頁には、「宗教が社会で果たしている役割や宗教に関する寛容の態度などに関しては、教育基本法第15条の規定を踏まえた配慮を行うとともに、宗教について理解を深めることが、自ら人間としての生き方について考えを深めることになるという意義を十分考慮して指導に当たることが必要である」と明記されているにも拘らず、このほどの中学校学習指導要領案には、この文言も、具体化された項目も見当たりません。
宗教や思想は、数千年にわたり、人々の生活の指針となり、心のよりどころであり続けたのであり、人類の叡智ともいえるものです。ですから、このように道徳編の解説に明示されたことは、大いに評価しておりますので、「解説」のみにとどまらず、学習指導要領の本文にも同文を明記くださるよう要望いたします。
教育基本法第15条第1項に、宗教教育については「宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。」と定めております。また、同条第2項には、「国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。」と明記しておりますが、同条2項が禁止しているのは、公立学校における「特定の宗教のための宗教教育」であって、学習指導要領等において、宗教に関する一般的な教養を育むためには、必要かつ適切な「宗教知識教育」を実施すべく、配慮されなければならないと考えます。
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