平成25年度事業報告書(概要)

(平成25年4月1日~平成26年3月31日)


I 事業

第1  概要
事業の状況

当連盟は、宗教界の連合組織として、神道・仏教・キリスト教・新宗教等の垣根を越えて、信教の自由の尊重と擁護のもと、宗教文化を広く社会に振興・普及することで、道義に基づく豊かな社会の形成に寄与するとともに、もって世界平和の確立に貢献する活動を展開している。

当事業年度も上記事業趣旨に基づき、教派神道連合会、全日本仏教会、日本キリスト教連合会、神社本庁、新日本宗教団体連合会、地方宗教連盟及びその他の団体との緊密な提携を図り、公益目的事業である「宗教文化振興事業」を柱に調査研究活動、講座・セミナー開催活動、広報普及活動などを展開した。

 

[ 信教の自由の尊重と擁護並びに宗教文化の振興・普及に関する事業 ]

 

第2  各活動の実績
1. 調査研究

(1)信教の自由の尊重と擁護並びに宗教文化の振興に関する調査研究の実施

ア.宗教文化を振興するための宗教及び宗教法人の公益性と信教の自由に関する調査研究の実施

(ア) 宗教法人実務研修会における講義のための調査研究

文化庁・開催都道府県主催の同実務研修会における講義のため、宗教法人の公益性に関する研究協議を行った。

イ.宗教文化を振興するための宗教法人実務研修会等の推進

(ア) 文化庁並びに都道府県主催「平成25年度宗教法人実務研修会」への講師派遣と、企画等委員派遣の協力

宗教法人の適正な管理運営に資することを目的として宗務行政への各種協力を行い、これらの活動をとおして信教の自由の尊重と擁護、並びに、宗教文化の振興と普及に努めた。

・ 平成25年度宗教法人実務研修会企画案選定委員会の委員として事務局長が協力

・ 「平成25年度宗教法人実務研修会評価企画会議」へ事務局長と幹事を委員として派遣

・ 平成25年度宗教法人実務研修会各会場に講師として事務局長と幹事を派遣し、「宗教法人の公益性」について講義(全9会場)

1)東北・北海道地区(9月2日、福島県・幹事)

2)第1回関東甲信越静地区(9月17日、埼玉県・幹事)

3)第2回関東甲信越静地区(11月6日、千葉県・事務局長)

4)第1回近畿・中部地区(9月30日、富山県・幹事)

5)第2回近畿・中部地区(11月19日、和歌山県・幹事)

6)第1回中国・四国地区(10月10日、愛媛県・幹事)

7)第2回中国・四国地区(10月24日、山口県・幹事)

8)第1回九州地区(10月31日、佐賀県・事務局長)

9)第2回九州地区(11月12日、宮崎県・幹事)

(イ) 文化庁主催各種委員会への委員等派遣協力

・ 文化庁主催「宗教法人制度の運用等に関する調査研究の協力者会議」の協力者として事務局長の派遣

(ウ) 文化庁主催各種研修会への講師推薦協力

・ 文化庁主催「平成25年度都道府県宗教法人事務担当者研修会(認証事務・不活動宗教法人対策)」の講師について推薦の協力

・ 文化庁主催「平成25年度不活動宗教法人対策会議(包括宗教法人)」の講師について協賛団体と協議し推薦の協力

ウ. 宗教文化を振興するための協賛団体(教派神道連合会、全日本仏教会、日本キリスト教連合会、神社本庁、新日本宗教団体連合会)、並びに、関係諸団体との連絡・協議・調査研究等の実施

(ア) 協賛団体との連携協力による調査研究

協賛団体との連携により、宗教・宗派の垣根を越えた信教の自由の尊重と擁護並びに、宗教文化の振興と普及のための交流を目的として、文化庁文化部宗務課と宗務行政に関する意見交換と情報収集を行った。(6月20日)

(イ) 関係諸団体及び、官庁との連携協力による調査研究

・ 平成24年4月から3年間の期限で行われる東北大学「実践宗教学寄附講座」への名義後援を行い、宗教文化に基づいたスピリチュアルケアを行う「臨床宗教師」の育成を推奨

・ 公益財団法人全国教誨師連盟主催、第48回教誨師中央研修会・教誨事業功労者表彰式に理事長が参列、宗教教誨事業功労者12名の表彰と記念品を贈呈

また、平成26年6月18日開催、公益財団法人全国教誨師連盟・名古屋矯正管区教誨師連盟主催、第35回全国教誨師大会において宗教教誨事業功労者の表彰を行うため、功労者12名を選出(平成26年度事業)

・ 文化庁から宗務行政百周年を迎えるにあたり、日本宗教連盟事務局長へ文化庁広報紙『文化庁月報』9月号への執筆依頼があり、「公益財団法人日本宗教連盟の役割」について事務局長が執筆した。同文書は、文化庁ホームページで広く一般に向けて公開

・ 文化庁の「東日本大震災により被災した宗教法人の実態調査」依頼に対し、信教の自由の尊重と擁護並びに、宗教文化の振興と普及の観点から、東日本大震災で被災した宗教法人施設等の復興のため、各団体による協力のもと調査結果を文化庁に回答。(10月15日文化庁の依頼、11月8日に文化庁に回答、同資料をもとに文化庁宗務課が財務省に折衝した結果、震災復興のための指定寄附金申請期限が12月27日付け財務省告示(第四百一号)で3年3ヶ月延長)

・ 法務省主唱、第63回「社会を明るくする運動」に協力団体として広報推進の協力(強化月間7月、中央推進委員会出席)

・ Inter Faith日本委員会主催「Inter Faith(諸宗教間交流)駅伝」が京都市マラソンに併催する形で開催され、同日本委員会への後援を行った。また、後援をとおして諸宗教間の対話と宗教文化の交流に関する調査研究を行い、同時に諸宗教間による平和的な協力の重要性を広く一般に向けて発信することに協力

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2. 講座・セミナー

(1)宗教文化並びに信教の自由に関するシンポジウム及び講演等の開催

ア. 宗教と生命倫理に関するシンポジウムの開催

(ア) 宗教と生命倫理シンポジウムの企画準備

・ 「第7回宗教と生命倫理シンポジウム」として、平成26年度に生殖補助医療の法制化を考えるためのシンポジウムの開催企画を準備。

現在、体外受精や代理出産といった生殖補助医療が、法的な位置づけもないままに国内の一部の医療機関で行われている現状がある。これらは、いのちの始まりと人間の存在のあり方に直結した、いのちの尊厳や生命倫理に関わる問題である。医療関係者や学者等有識者から現状を講演いただき、法制化の動きや諸課題を明らかにすることで、広く一般の方にも考える機会を提供し、また、国民的な議論の必要性を喚起したい。

イ. 宗教及び宗教法人の公益性に関するセミナーの開催

(ア) 宗教法人の公益性に関するセミナー開催

・ 「第2回宗教法人の公益性に関するセミナー ―震災復興と宗教―」を開催した。平成23年3月11日に発生した東日本大震災の復興、新たなまちづくりが進められる中で、人々の心の拠り所である神社や寺院、教会等の復興はどのようになされているのか、復興の現状とそこに介在する問題について、信教の自由の尊重と擁護、並びに、宗教文化の振興と普及の観点から問題提起を行った。

官公庁の宗教法人事務担当者や復興担当者にも案内するとともに、ホームページで一般からの参加者も募集した。

【第2回宗教法人の公益性に関するシンポジウム】

日 時  平成25年12月13日(金)13:30~16:30

会 場  神社本庁・大講堂

テーマ 「震災復興と宗教」

講 師  基調講演

赤坂憲雄氏 学習院大学教授・民俗学者・東日本大震災復興構想会議委員

パネリスト

赤坂憲雄氏 学習院大学教授・民俗学者・東日本大震災復興構想会議委員

丹治正博氏 福島県宗教団体連絡協議会会長・福島県神社庁長

川上直哉氏 仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク(東北ヘルプ)事務局長

長谷川正浩氏 弁護士、日本宗教連盟評議員

コーディネーター

石井研士氏 日本宗教連盟理事・國學院大學神道文化学部教授・学部長

対象者 一般、並びに宗教関係者及び宗務課、復興庁及び自治体復興担当者

参加者 118名

ウ. 宗教文化セミナーの開催

(ア) 第2回宗教文化セミナーの開催

・ 「第2回宗教文化セミナー」シリーズ第1回「悩める若者にどう向き合うか」を開催した。

現代社会のなかで、人々や社会が抱える悩み、苦しみ、矛盾などの諸問題に、宗教者はどう向き合ってきたのか。なかでも「家族」と「地域社会」が抱える問題にどのように向き合い対応してきたのか、個人・家族・地域社会との関わりのなかで果たしてきた役割を、広く一般の方に知っていただく機会を提供する。

全3回のシリーズとして企画し、第1回は、悩みを抱えて神社や寺院、教会を訪れる若者やその親に、宗教者がどのように接し、どう耳を傾け対話しているのか、一般社会ではあまり知られていない現状を、悩みの最前線で格闘する宗教者の生の声を聴くことで、切実な社会問題を見つめなおすことを目的とした。

日 時  平成25年6月17日(月)14:00~17:10

会 場  常磐松ホール(國學院大學・学術メディアセンター)

総合テーマ 宗教は「家族」と「地域社会」を再生できるか(シリーズ全3回)

テーマ 第1回「悩める若者にどう向き合うか」

講 師  基調講演・司会進行

石井研士氏 國學院大學神道文化学部教授・日本宗教連盟理事

講師

森 一弘氏 カトリック司教・一般財団法人真生会館理事長

三橋尚伸氏 真宗大谷派僧侶・産業カウンセラー

大木光雄氏 金光教結城教会教会長

対象者 一般、並びに宗教関係者

参加者 128名

・ 「第3回宗教文化セミナー」として、「宗教は『家族』と『地域社会』を再生できるか」シリーズ第2回「『限界集落』化する地域社会と宗教の力」を平成26年度に開催するため、企画を準備。

開催日程は平成26年6月17日を予定し、國學院大學・常磐松ホールを会場として、一般、並びに宗教関係者など、広く一般の参加を募る。

戦後、昭和30年代の都市化ののち40年代の過疎化が指摘され、地域社会は急速な変貌を遂げたが、現在は地域人口の50パーセント以上を65歳以上の高齢者が占めるような限界集落化が進行している。宗教は、お祭りなどの年中行事や通過儀礼といった宗教文化として、多様な形態で地域社会のコミュニティやネットワークを形成してきた。そのようななかで宗教文化が果たしてきた役割を確認しつつ、地域社会を活性化させ限界集落化への対応がいかになされていくのか、宗教者の実際の取り組みをとおして日本の望ましい未来を考えることを目的とする。

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3. 広報活動

(1)ホームページによる宗教文化並びに信教の自由に関する情報の発信及び広報の推進

ア. ホームページによる情報発信

信教の自由の尊重と擁護、並びに、宗教文化の振興と普及のため、各種活動に関する情報を発信。事業活動等の情報については、機関紙『日宗連通信』を公開することで広く一般に情報発信をすることに努めた。

また、第2回宗教法人の公益性に関するセミナー「震災復興と宗教」の講演概要の掲載をとおして、今後の復興の一助となるよう広報に務めた。

・ セミナーの開催告知等、各種活動について、ホームページで広く一般に対する情報を提供

・ 機関紙『日宗連通信』や、事業活動に関する情報をホームページで公開し、一般に情報を提供

(2) 機関紙『日宗連通信』による宗教文化並びに信教の自由に関する情報の発信

ア. 機関誌の編纂、刊行

・ 第6回幹事会及び第7回幹事会において、日宗連通信企画会議を開催し、平成25年度の内容を協議のうえ機関誌『日宗連通信』発行。ホームページでの公開と、関係諸団体に機関誌『日宗連通信』を配布することで、信教の自由の尊重と擁護並びに宗教文化の振興と普及を広く一般社会に促し、情報を提供

・ 平成25年度宗教法人実務研修会全9会場の資料として、『別刷・日宗連通信』を作成し、研修会参加の宗教法人関係者をとおして広く一般に向けて情報発信

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4. その他、目的を達成するために必要な活動

(1) 関係諸団体及び、官庁等への協力

ア. 各種依頼への協力

・ 公益財団法人庭野平和財団主催・第30回庭野平和賞贈呈式に理事長が参列し祝辞

・ 厚生労働省主催・千鳥ヶ淵戦没者墓苑拝礼式に事務局長が参列

・ 公益財団法人新日本宗教団体連合会主催・第48回戦争犠牲者慰霊並びに平和祈願式典に事務局長が参列し献花

・ 政府主催・全国戦没者追悼式に理事長が参列し献花

・ 千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会主催・秋季慰霊祭に事務局長が参列し献花

・ 宗務行政百周年記念の集いに事務局長出席

・ 世界連邦日本宗教委員会主催・第35回世界連邦平和促進全国宗教者・信仰者東京大会に協賛し、理事が参列し祝辞