令和元年度 年頭所感
「新年のご挨拶」
公益財団法人 日本宗教連盟
令和元年度理事長 岡田 光央
令和の御代初めての新年を寿ぎ、ここに謹んで新春のお慶びを申し上げます。
昨年はローマ教皇フランシスコ台下が三十八年ぶりに来日され、長崎と広島、東京にて集いやミサなどを執行されました。
十一月二十四日、広島平和記念公園で行われた「平和のための集い」において述べられたメッセージは胸に響きました。そこで教皇は、あの恐るべき原子爆弾の投下と悲惨についてメッセージされ、次のように結論しています。
《紛争の正当な解決策として、核戦争の脅威による威嚇をちらつかせながら、どうして平和を提案できるでしょうか。》《真の平和とは、非武装の平和以外にありえません。》
しかしながら、私たちの平和への願いとは反対に、世界では絶えざる紛争が起き、また国家間の政治的、経済的な緊張感も強まる一方です。それでも尚、真の平和を希求し、核武装を解除させる運動を続けなければなりません。
私たちは宗教宗派を超えて教皇が訴えた「すべてのいのちを守るため〜PROTECT ALL LIFE」――このテーマを胸に収め、世界の心ある宗教者と共に連帯し、手を携えて「共生共栄の世界」を目指してゆかねばならないと思うのであります。
さて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会が、いよいよ半年後の開催に迫ってまいりました。開催国である日本の文化に興味を持ち、世界各国から来訪する観光客も増加していますが、なかでも宗教や信仰に根差した建造物や美術工芸品などの文化財を一目見ようと、神社仏閣や教会を訪問する人々も年々増えています。
一方、行政や大企業では、多様な人々の社会参加への対策を進めてきましたが、オリンピック開催や観光客の増加が契機となって、より多様な人々に配慮された「ユニバーサルデザイン」の導入も進んでいます。ユニバーサルデザインとは、建物や乗り物、案内表示、日常の道具等々のデザインで、年齢や性別、障害の有無、体格、国籍などに拘らず、誰にもでも優しく、わかりやすくて利用しやすいことを目指すものです。そして、何よりも大切なのは、そこで働く人々が、多様な人々を尊重して「誠実に対応すること」だというのです。
当連盟ではユニバーサルデザインに着目して、本年三月にセミナーを開催すべく準備を進めています。皆様にもご参加いただきたく、後日ご案内致します。
当連盟では、本年も信教の自由の尊重と擁護、宗教文化の振興、宗教文化の交流を目的とする諸活動を行ってまいります。
(新日本宗教団体連合会理事長)