『公益法人制度改革(新制度の概要)』における問題点
平成18年2月21日
財団法人 日本宗教連盟
東京都港区芝公園4-7-4明照会館内
『公益法人制度改革(新制度の概要)』における問題点
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今回の公益法人制度改革は、非営利で公益を目的とする民間非営利組織の拡充に向け法制の整備をはかることが目的である。しかしながら、『公益法人制度改革(新制度の概要)』では、宗教文化の振興をとおして公益の増進に貢献してきた「宗教」が明確に位置づけされていないばかりか、現行民法の規定と著しく整合性を欠いている。こうした問題点をすみやかに検討するよう、要請する。
- 「宗教法人」が公益法人であることの説明として現行民法第34条が引用されてきた。公益として「祭祀」「宗教」が明記されているからである。これが無くなると「宗教法人」が公益法人であることの法的根拠を失いかねない。現行民法第34条との整合性をはかるよう要請する。
- 『公益法人制度改革(新制度の概要)』をみると、公益的事業の例示の中に「宗教」が抜けている。これは「宗教」が人心の安定をはかり、教育、文化、社会福祉、その他公益の増進に寄与してきたことを甚だ軽視するものである。
- 現存する現行民法第34条の「祭祀」「宗教」を設立根拠としている財団法人・社団法人の多くは、宗教活動を主たる目的としておらず、信教の自由の擁護や、宗教文化の振興、宗教法人の擁護後援の活動、宗教に関する調査研究等の活動をしている。公益的事業の例示の中に「宗教」がなくなると、これらの財団法人・社団法人が自らの設立根拠を失い「公益財団法人・公益社団法人」として認定されなくなるおそれがあり、活動を縮小させることとなる。
- 宗教活動をしている財団法人・社団法人(主にキリスト教)については、例えば、(1)宗教法人法に基づく宗教法人への移行、(2)残余財産の宗教法人への帰属など、移行手続きを明示すべきである。
- 残余財産の帰属先に従来通り「宗教法人」を加えることを要請する。宗教法人が、宗教法人の公益的事業を護持後援するために設立した財団法人・社団法人の財産が失われることになりかねない。
以上