第4回宗教の公益性に関するセミナー
「持続可能な開発目標『SDGs』入門講座―社会と共に歩む宗教者であるために―」
要旨
平成31年3月28日、明照会館(東京都港区)において、外務省国際協力局地球規模課題総括課の甲木浩太郎課長を招請し、持続可能な開発目標「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」入門講座を開催。35人が参加して基礎と概要を学んだ。
○ SDGsについて
持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」は、2015年9月の国連サミットで全会一致で採択。「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする、先進国を含めた全ての国が目指す17の目標。その下に、169のターゲット、232の指標が決められている。
特徴は次の五つ。①普遍性(先進国を含め、全ての国が行動)②包摂性(人間の安全保障の理念を反映し「誰一人取り残さない」)③参画性(全てのステークホルダーが役割を)④統合性(社会・経済・環境に統合的に取り組む)⑤透明性(定期的にフォローアップ)
○ 日本政府の取り組み
日本政府は2016年以降、内閣総理大臣を本部長とした関係省庁によるSDGs推進本部を立ち上げ、人間の安全保障の理念に基づいて、国内での取り組みを行うと同時に、世界における国づくりや人づくりの支援を打ち出している。日本国内では、①中小企業とSDGs「Society5.0」、②地方創成とSDGs、そして、③次世代と女性のエンパワーメントの推進を三つの柱として施策を進めている。
またSDGs推進本部では「ジャパンSDGsアワード」を開催して、各種団体の活動と積極的な取り組みを表彰している。
○ 持続可能な社会とは
近年日本では、環境、社会、企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資(ESG投資)が盛んになり、それによってSDGsの取り組みが大企業や経済界で促進され、日本社会でもSDGsが知られるようになった。事実、日本企業には千年以上続くものがあり、中小企業も含む、百年以上続いている企業数は世界最多である。これは、日本の企業風土が近江商人の「三方よし」を例として持続可能な経営をしてきたことを示している。
また、日本人の生活に注目すると、生活に向き合う姿勢は、まさにSDGsそのものである。更に、宗教について言えば、自然との共生や誰ひとり取り残さないという思想、災害支援に見られる強固なネットワークの構築なども、SDGsに沿っているといえる。
SDGsは、各国政府や市民社会、民間セクターを含む様々な主体が連携して取り組むこと、そして、実際に「行動すること」が求められている。これからの宗教界の「行動」が期待される。
○甲木氏の講義を受け、聞き手の戸松義晴幹事は、これまでも宗教界では、鎮守の杜を守り育てる環境保護活動をはじめとして、災害時支援や子ども食堂などの「誰ひとり取り残さない」様々な社会貢献活動を行ってきたことを紹介し、宗教界の日々の活動が良い意味でSDGsに位置付けられた、国際社会における宗教界の「行動」が今後も重要となる、と述べた。
公益財団法人日本宗教連盟
「第4回宗教の公益性に関するセミナー」要旨 (文責事務局)
平成31年3月28日・会場 明照会館
※無断複写等はご遠慮ください。本文引用の場合は出典を明記してください。
[ 参照 ]
SDGsロゴは国際連合広報センターホームページを参照
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/
外務省国際協力局地球規模課題総括課からのご案内
「外務省×SDGs」ツイッターにて、SDGsに関連する話題を硬軟織り交ぜつつ日々発信している。
https://twitter.com/SDGs_MOFA_JAPAN