鳥取県による宗教法人の財務情報開示について(3)

鳥取県による宗教法人の財務情報開示について(3)―日宗連からのお尋ね

平成16年2月12日

鳥取県知事 片山善博 殿

東京都港区芝公園4-7-4明照会館内
財団法人 日本宗教連盟
事務局長 宮澤佳廣

宗教法人の財務情報開示に関する貴県回答へのお尋ね

 貴県情報公開条例(以下、「貴県条例」という。)に基づく宗教法人の財務情報開示について、本年1月20日付文書にてお尋ね致しましたところ、ご回答を賜り有難うございました。
 ついては、貴県のご回答中、下記について再度お尋ね致したく、誠に恐縮ながら貴県の御見解を2月末日までに文書にてお示し下さいますよう、お願い申し上げます。

1 回答では、「文書を開示した宗教法人の名称は、当該法人の不利益情報に当たるため、お答えすることはできない」としていますが、当該法人の名称を知らせることが、当該法人にとってどのような不利益を及ぼすとお考えか、具体的にお知らせ下さい。
 なお、開示請求者は、当該法人の名称を特定した上で関係公文書の開示を請求し、開示決定によって当該法人の非公知情報を知り得ています。公知情報である名称を知られるより、非公知情報を知られる方が当該法人にとって不利益が大きいと考えるのが一般的ですが、貴県条例では、開示請求者と当該法人との関係においては、当該法人の不利益という概念は成立しないのか、不利益情報の存否とその理由についても併せてご回答下さい。

2  回答では、「公文書の開示・非開示は本県の情報公開条例に基づき決定する」とし、「個人情報が含まれている場合や、開示することで法人の利益を害するおそれがある場合などは、その部分について非開示とすることとなっている」とした上で、今回のケースでは、「公開しても宗教法人の利益を害するおそれはないと判断し開示した」としています。しかし、貴県条例第9条2項3号では、法人その他の団体(国、独立行政法人等、地方公共団体及び公社を除く。以下「法人等」という。)に関して、「公にすることにより、当該法人等又は個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのあるもの」を非開示情報と規定しています。もとより、県条例にいう「正当な利益」には「当該法人等の権利」が含まれると解されますが、念のため、貴県条例第9条2項3号の規定の解釈及び、規定にいう「当該法人等又は個人の権利」のうち「当該法人等」に当たる宗教法人の場合は、具体的にどのような権利が含まれるのか、その判断をお示し下さい。
 また、回答には、「条例には、宗教法人に限定された情報の開示・非開示の判断を行う際の特別な規定は設けられてお」らない旨、記されていますが、県条例第9条第2項第3号にいう「当該法人等又は個人の権利」によって、権利の内容が異なることで他の法人と公文書の取扱いにおいても差異が生ずることはないのか、ご回答願います。

3  回答では、宗教法人に特別な規定を設けていないとした上で、「他の法人と同様に正当な利益を害するかどうかを個々に審査」するとしていますが、宗教法人と同様の私法人で、貴県が所管する法人はどの程度あり、どのような非公知情報を公文書として管理しているのか、お知らせ下さい。
 また、それら法人に関する公文書の開示請求があった場合も、回答に示されたとおり判断されると解して宜しいか、お示し下さい。

4  貴県において開示された宗教法人の情報は、宗教法人法第25条によって提出を義務付けられた書類であり、提出書類全般に亙って開示されていることから考えても、個人情報以外は全て開示情報にあたると判断されたやに思われますが、回答では、「正当な利益を害するかどうかを個々に審査し、開示決定の判断をする」としています。ついては、「正当な利益を害しない」と判断される場合とは、一体どのような場合なのか、想定される事例を挙げて具体的にご回答願います。

5 貴県は、積極的な情報公開を県政運営の重要な柱に据えられていると伺いますが、貴県条例では、その目的を「県の諸活動を県民に説明する責務を全うし、もって県民参加による開かれた公正な県政の推進に資する」ことにおき、単に公文書を開示することを終局の目的としていないことを明記しています。そこで、当該宗教法人との利害関係さえ特定できない第三者に当該宗教法人の非公知情報を開示することが、どのような意味で貴県宗務行政の推進に資することにつながるのか、お示し下さい。

以 上