平成20年度 年頭所感

「新年を迎えて」

財団法人 日本宗教連盟 平成20年度理事長 矢田部正巳

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

旧年中は、本連盟の諸事業につきまして格別の御高配を賜りましたことを、心より御礼申し上げます。

昨年十二月、公益認定法など新公益法人制度関連三法が施行となり、本連盟は現在、法律上は特例民法法人として位置づけられることとなりました。三年前、これら関連三法が国会で審議されるにあたり、本連盟は、①新法において旧民法からの「宗教の公益性」が明記されること ②公益目的事業に宗教に関わる項目が明記されること ③公益法人解散時の残余財産の帰属先として宗教法人も含まれること の三点を関係者に訴えてまいりました。新制度に対する日宗連の取り組みは、文明国において、文化や伝統、道徳の基層にあるべき宗教の公益性が法律から漏れ落ちることがあってはならないとの思いで進められたものですが、御承知の通りその趣旨は概ね新制度にも反映されました。そして、新制度が施行された現在、本連盟自身がどのような組織と活動を目指してゆくかを明確にすべき重要な時期を迎えることになったわけです。

悲しいことですが、昨年一年間の国内ニュースを見ても、宗教文化の衰退がもたらしているとしか言えない事件や事象があまりにも多く見うけられます。信教の自由の精神と政教分離制度のもとに、いかにわが国において宗教文化の振興を図り、平和で安定した社会の構築を図っていくかが、宗教界共通の課題になっています。本連盟におきましても今日の社会状況を深く肝に銘じ、引き続き教誨事業功労者表彰をはじめとする宗教教誨事業への協力、脳死・臓器移植などの生命倫理問題への対応、宗教教育のあり方についての調査研究など、国の政策と国民生活、宗教とが密接に関わる問題について、広く社会に提言してまいりたいと考えております。

それとともに、協賛五団体をはじめ関係省庁、関係諸団体との連携を深めながら、新たな公益法人制度のもとにおける本連盟のあり方や、宗教法人税制へ及ぼす影響について、引き続き検討してまいる所存であります。本年もまた格別の御理解、御協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

(平成20年度『日宗連通信』より