令和2年7月豪雨被害へのお見舞い

令和2(2020)年7月4日未明から続く記録的な豪雨により、九州や中国・四国地区、岐阜県、長野県等の各地で起きた災害により亡くなられた方々に、衷心より哀悼の誠を捧げますとともに、ご遺族、ご関係の皆さまの心中いかばかりかと拝察いたします。

また、行方不明の方々が早期に発見されますよう祈念いたしますとともに、豪雨により家屋の流出や浸水被害にあわれ、避難されている多数の方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 

令和2(2020)年7月10日

公益財団法人 日本宗教連盟

理事長 戸松義晴

このたびの新型コロナウイルスの社会的影響と、政府の支援策について(意見)

令和2(2020)年6月23日

公益財団法人 日本宗教連盟

 

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染は今なお世界的に広がっており、「緊急事態宣言」は解除になりましたものの、いまだ予断を許さない状況が続いております。

この感染症により、闘病されている方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、感染症により亡くなられた方々に衷心より哀悼の誠を捧げますとともに、ご遺族、ご関係の皆さまの心中いかばかりかと拝察いたします。

 

今回の新型コロナウイルス対応に関して、本連盟では幹事会での検討を重ね、各方面に対して以下のような意見を述べてまいりました。

① 当初の緊急経済対策では網羅されない国民が多数いるため、支援から漏れ落ちる人々がないよう検討をすること。また、エッセンシャルワーカーに対しても医療関係者に準ずる優先的な支援をすること

② 国内に約18万ある宗教法人のうち、約7割が家族のみで奉仕し、年間予算規模が500万円未満の零細法人であるため、支援にあたってはその声にも耳を傾けていただくこと

③ 中小企業を対象とする事業が、非課税団体である公益法人にも対象が広げられたにもかかわらず、本来公益法人に含まれる宗教法人だけがその対象から除外されたことへの疑問

④ 信教の自由の擁護や宗教文化の振興、心豊かな社会の形成を担い、地域社会のコミュニティの維持のために重要な役割を果たしている宗教法人が、引き続きその役割を担っていけるようにすること

 

宗教法人は一人一人の信徒・信者によって支えられております。国民が等しく国難に瀕している中で、信徒・信者の置かれている状況を訴え、支援の検討をお願いすることも本連盟の活動として必要であると考えますし、それは宗教法人を特別扱いするものではないと思慮いたします。

その一方で、施策策定の過程において、地域コミュニティの維持という公益目的を果たしている宗教法人が、他の公益法人とは異なり支援の対象から除外されたことに対して、宗教法人のみ特別扱いされるのではという重大な危惧を持っております。宗教法人は法律上公益法人に属し、税制に対しても公益法人税制が適用され、その中で活動をしております。また、文化庁と協力して全国の宗教法人に対して、宗教法人の公益性を訴えており、今後も公共の利益に寄与する事に努めてまいりたいと思います。

上記②にあるように、文化庁の統計では、約7割の宗教法人は零細な運営で担われております。信徒・信者の生活の困窮により法人の収入が激減し、存続すら危うい寺院も多数あり、本連盟に対し、その窮状を訴える法人もあります。そのような宗教法人の切実な現状を各方面に届けることも、私たちの大切な役割と認識しております。

 

今後も日本宗教連盟は、宗教法人の置かれている現状を包括的に受け止め、寄せられる声を真摯に受け止めつつ、本質的な議論を進めてまいりたいと思います。

経緯の記録はこちらの記事をご覧ください。
要望についてはこちらの記事をご覧ください。

 

経緯の記録 日本宗教連盟の新型コロナウイルス感染症対策

令和2(2020)年6月23日

公益財団法人日本宗教連盟

 

令和元(2019)年12月頃から徐々に世界規模で感染が拡大した「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」は、多数の健康被害者と、多数の死者を出し、感染拡大阻止のために海外では首都封鎖も行われるなど、世界各国での文化・経済活動等の自粛が余儀なくされた。

その危機的状況は日本の文化・経済活動にも大きな打撃を与えている。感染者数や感染による死者の増加、感染者やその家族等への差別、そして、感染拡大防止のための文化・経済活動の停止による失業や収入減による生活難は、全ての国民の命にかかわる緊急事態である。

同感染症の国内の感染拡大に伴い、令和2年2月26日に、安倍内閣総理大臣から、「政府といたしましては、この1、2週間が感染拡大防止に極めて重要であることを踏まえ、多数の方が集まるような全国的なスポーツ、文化イベント等については、大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は、中止、延期又は規模縮小等の対応を要請することといたします」というメッセージが公表された。そのころから、一部の宗教法人施設でも、感染源とならないよう対策が取られてきた。

 

日に日に増す社会の混乱と経済状況の悪化により、檀家や氏子崇敬者、信者、信徒である一人一人の生活への影響は避けられないことが明確になっていた。本連盟では、国民の生活を第一とした「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」など、政府による迅速な対応と、様々な支援策の策定が必要であることを痛感し、早期対応の必要性を、各所へ訴える必要性があると5団体(教派神道連合会、全日本仏教会、日本キリスト教連合会、神社本庁、新日本宗教団体連合会)で意見交換と協議を行っていた。

宗教法人の多くは小規模で、家族のみで運営しているが、国民の生活が安定しない状況が続くと、宗教法人にも今後しばらく影響が出るという危機感をもったからである。

当連盟では、3月下旬から宗教法人施設や宗教文化施設等への様々な影響、首都封鎖など今後懸念される事態について、5団体の意見や意向を踏まえつつ幹事会による意見交換、並びに、情報交換を電話やEメール、Web会議等で継続して行ってきたのである。

 

新型コロナウイルス禍を受けた政府は様々な対策を策定するなか、4月9日に政府与党の自由民主党(組織運動本部団体総局)から日本宗教連盟に対し、コロナ禍において宗教界の意見と要望を聞かせてほしいと連絡があった。

本連盟はWebで幹事会を開催するなど協議を重ね、4月17日に意見をまとめて自民党組織本部、社会・宗教関係団体委員長宛てに意見・要望を提出した。 (別紙:令和2年4月17日付け「要望」

 

その後、新型コロナ対策について、政府はさまざまな政策を発表した。

 

1、 雇用調整助成金について

宗教法人であっても、労働保険の適用事業所(雇用保険や労災保険を支払っている)である場合には、今回の「新型コロナウイルス感染症」の関係で、常勤職員、非常勤職員(パートタイマーやアルバイト)を解雇せず、休業させ、「休業手当」を支給した場合、宗教法人も「雇用調整助成金」を申請することができる。

2、 国税等の納税の猶予制度の特例等について

新型コロナウイルス感染症の影響で期限までに申告・納付が難しい場合は、簡易な手続で期限延長が可能。国税、地方税、厚生年金、社会保険料、雇用保険料等。

3、 持続化給付金について、 等々

 

なお、持続化給付金への本連盟の対応は以下の通りであった。

 

中小企業庁は持続化給付金を政策し、中小企業やフリーランスの事業所、事業者を支えると発表した。

私たちは当初この政策は中小企業(課税法人)のみを対象とするものと思っていたが、政府は企業(課税法人)のみならず、公益法人、NPO法人など非課税法人の事業所も対象とする方向で進めていると発表した。政府は、コロナ禍は大規模災害と同じく全国的な災害であるという姿勢から、そのような対策をとったと想察される。そうであるなら、宗教法人も公益法人と同等の対応がなされるであろうと。

だが、ガイドラインの決定過程において、宗教法人は対象から外されるとの情報があった。理由は宗教に公金を投入することが、日本国憲法第89条違反の疑いがあるとのことであった。

 

宗教法人を対象外とした政府担当者(中小企業庁)の説明では、当初、法制局が宗教(宗教法人)への適用は憲法89条違反との見解を示したからだ、ということだった。

 

日本国憲法 第八十九条

「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。」

 

この条文の解釈は難しい。前段に、宗教に公金を支出しない。また後段は、公の支配に属さない慈善教育若しくは博愛の事業(民間公益法人と解釈される)に公金を支出しない、という構成になっている。

89条違反をいうなら、宗教、民間公益法人、ともに対象外とするのが筋論ではないのか。それなのに、なぜ前段部分の「宗教」だけが違憲として外されるのか疑義を抱いた。

(一般に、条文にある「宗教上の組織及び団体」は、通常は特定の宗教団体への便益を禁じているのであり、宗教全体を指すのではないと解釈されるものであるため。その解釈によって、歴史的文化的価値だけでなく、宗教的価値によって認められた宗教法人所有の国宝や重要文化財に、公金が出ても違憲とされないのではないのか。)

この際、明確な憲法解釈を政府に求めるべきだとして、日本宗教連盟と5団体は情報を共有しながら、今回の政府見解について次のとおり各所に説明してきた。

1、 本件を違憲とした解釈の理由を政府(法制局)に確認する必要がある

2、 行政府、立法府に違憲解釈の間違いと行き違い、誤解等があれば、是正していただく必要がある。これは、今後、大震災や台風などの災害があった時、憲法解釈(政教分離という間違った解釈)によって宗教施設のみが復興政策などから外されることがないように必須と考える。

3、 税制に関して、宗教法人のみが非課税(及び、軽減税率適用)ではなく、「法人税法の別表2」に定める公益法人等はすべて、税制上の優遇措置を受けていて法人税は非課税である。(公益社団・財団法人や社会福祉法人、学校法人、NPO法人など)そのため、今回の案件のように、「宗教法人は非課税だから」という理由から宗教法人に税金を投入することはできない、という理論は成り立たないと考える。

4、 世間で言われている「世の中でただ一つの非課税法人である宗教法人に、税金を投入するのは違憲」という間違いについて一般にも説明していかなければならない。

5、 実際に宗教法人の中で給付金を請求する法人は少ないと思われる。しかし、なかには年間予算が300万円以下の地方の小規模寺社・教会(零細寺社)など適応となると助かる寺社等もあるので、小規模宗教法人の「事業所」(世俗法による法人運営の部分に限って)の救済としての理解をいただくこと。(経済センサスでは、宗教法人の事務所、社務所等も、「事業所」の扱い。)

 

これまでも、阪神・淡路大震災、東日本大震災などの大規模災害時には、憲法第20条、及び、第89条を引き合いに出し、「政教分離」に反するという間違った解釈をあてることで、宗教および宗教施設のみを瓦礫の撤去の対象とせず、復興政策から外すことが、さも当然の如く行われてきた事実がある。

今回の違憲解釈は、これらの事例などを踏まえての行動と言えるのではないか。

 

このように多方面に説明を進めていくなかで、次第に政府側も理解を示すことになった。

私ども日宗連担当者からの説明を受け、「89条違憲ではない。」さらに「違憲でないなら宗教法人のみを外す行為が憲法14条の違憲になる恐れがあるので、善処すべき」との議論がなされたようだ。

 

しかし現在、本件は見送られている。

 

以上

 

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