「特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律」の成立についての所論
本件については、本年11月22日付で「本来の活動を逸脱し、公共の福祉に反していると客観的に判断された宗教法人が、現行の民事手続きの中でその財務の透明化を図り、被害者救済に応えていくことは、社会的責務」であるとの当連盟の立場を表明しました。此度、本法律が多くの党派の賛成を得て成立したことに対し、その制定に携わった方々の尽力に心より敬意を表します。
本法律の成立を受けて被害者の方々の財産的被害が回復されることを願うと共に、私たちはあらためて、それぞれ被害者に寄り添い、その精神的な救済に努めて参る所存です。
信教の自由は、思想信条の自由、学問の自由、表現の自由と共に基本的人権の根幹をなす、憲法で認められた国民の大切な権利でもあります。そのような観点から、本法律の附則に記されている「施行の3年後に財産保全の在り方について検討を行うこと」については、当連盟では既に宗教法人法に会社法の規定を乱暴に当てはめることはあってはならい旨表明しております。今後、この附則に基づく検討において、宗教活動に制限の加えられることがないよう慎重な対応を願っております。
尚、報道によると「包括的な財産保全策は『信教の自由に抵触する恐れがある』として盛り込まなかった」とされていますが、そもそも包括保全の実効性については、憲法20条のみならず29条(財産権)からも問題が生じるのではないかと考察します。
当連盟はじめ加盟法人は、これからもそれぞれの団体の本来の活動はもとより、災害•防災への取り組みや信仰文化のさらなる振興と醸成に努めて参ると共に、引き続き社会的信頼に応えるべく、宗教法人の適正な管理運営に努めて参ります。
令和5年12月18日
公益財団法人 日本宗教連盟