平成17年度 年頭所感

「年頭所感」

財団法人 日本宗教連盟 平成17年度理事長 里見達人

謹んで新年を迎えられましたこと、心よりお慶び申し上げます。

江戸中期に小林一茶という俳人がおりましたが、彼の晩年の句に「なにごともあなた任せの年の暮れ」というものがあります。彼は仏教徒でありましたから、ここにいう「あなた」とは仏さまのことになるわけですが、本連盟の関係の皆様には、それぞれのお立場からのそれぞれの「あなた」がおいでになり、そうしたより大きなもののご意思によって、物情騒然としながらも年が暮れていくことに感慨を覚えるものであり、こうして迎えることのできた新たなる年が本当に穏やかな年でありますことを願わずにはいられません。

さて、平成18年は、本連盟創立60周年の年に相当いたします。昭和23年6月2日の財団設立以来、協賛五団体相互の協調、さらには地方宗教連盟との連携を保ちながら、信教の自由と政教分離の精神のもと、宗教文化の興隆と文化日本の建設をめざし、もって世界平和に貢献するべく諸活動を進めてまいりました。

60年という節目を迎え、歴代の関係各位に深甚の敬意と謝意を表するとともに、本会設立の意義のもと、あらためて協賛五団体が結束を強化し、社会に宗教文化を宣揚していく使命をより発揮していくことが肝要でありましょう。

懸念される公益法人制度改革にともなう宗教法人への影響、収拾が期待される鳥取県における情報開示問題、不活動宗教法人問題、さらには生命倫理の問題、青少年問題、宗教と教育の問題、地球温暖化をはじめとする環境問題等、こうした多岐に及ぶ社会問題の中から、宗教が課題とすべき問題を抽出し、時局に応じてシンポジウムやホームページの手段をもって社会に提言していくことは、まさに日本宗教連盟ならではの事業ではないかと認識するものであります。

本連盟にかけられた責務を全うすべく、皆様の温かいご指導ご協力を賜わりますよう、本年もよろしくお願い申し上げる次第であります。

(平成17年度『日宗連通信』より)