II 今後の教育政策に関する基本的な方針「1.夢と自信を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力を育成する」について

平成29(2017)年3月5日

文部科学省

生涯学習政策局政策課教育改革推進室 御中

公益財団法人 日本宗教連盟

理事長 植松 誠

【第3期教育振興基本計画策定に向けた基本的な考え方への意見】

 

Ⅱ 今後の教育政策に関する基本的な方針

「1.夢と自信を持ち、可能性に挑戦するために必要となる力を育成する」(9~13頁)について

 

【要旨】

9頁に明記されているとおり、「教育政策の展開に当たっては、政府や民間など様々な主体が連携・協働する必要がある」ならば、地域文化を担う、寺院や神社、教会などの、行事やお祭りといった宗教と関わり深いものに触れる機会をもつことが有効です。また、11頁の4つ目に「確かな学力に加え、子供の健やかな成長のためには、豊かな心を育むことも不可欠である」ならば、公平公正な「宗教知識教育」「宗教文化教育」が行われることで、「いのちの尊厳」や「思いやりの心」を育むとともに、豊かな人間性の基盤を形成して、「自立的に生きるために必要な生きる力」を養うことが必要です。

【意見】

平成28年12月の「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」の19頁に示された「社会に開かれた教育課程」は、「子供たちが、身近な地域を含めた社会とのつながりの中で学び、自らの人生や社会をよりよく変えていくことができるという実感を持つことは、困難を乗り越え、未来に向けて進む希望と力を与えることにつながるものである」と、政策としての重要性が示されています。

このたびの「基本的な方針」9頁に、「教育政策の展開に当たっては、政府や民間など様々な主体が連携・協働する必要がある」と明記されているように、様々な組織の連携は、今後ますます重要となり、たいへん意義深いことだと思います。

なかでも、学校等をとりまく身近な地域社会の伝統や文化を通して、他者と協働する体験から、関係性のなかで生かされている自分に気づくことは、「生きる力」と知恵を育むためにも必要です。地域文化のなかには、寺院や神社、教会などの行事やお祭りといった、宗教と関わり深いものがありますが、そのような身近な文化に触れる機会は、社会の一員としての自覚を促す貴重な文化体験になります。

また、10頁「確かな学力、豊かな心、健やかな体の育成等」の9つ目に「確かな学力に加え、子供の健やかな成長のためには、豊かな心を育むことも不可欠である。このため、豊かな情操や規範意識、自他の生命の尊重、自尊感情、他者への思いやり、対面でのコミュニケーションを通じて人間関係を築く力、公共の精神等の育成、日本の伝統や文化を継承・発展させるための教育を推進することが重要である」(11頁)と明記されています。

人間は本質的に不完全な存在です。不完全であればこそ、自己の能力の過信に陥らず、常に謙虚で創造的・献身的であるためにも「超越せるもの」の存在や「人知を超えた真実」に気づくことが大切です。科学は人類に恩恵をもたらしていますが、絶対ではありません。

古来、宗教は、生活や伝統、文化、芸術に溶け込みながら、地域コミュニティーの形成に寄与し、宗教的な感性や宗教的情操を涵養し、「いのちの尊厳」や「思いやりの心」を育み、人々の精神面を支え、社会の規範としても役割をはたして来ました。子どもたちの宗教的な感性や宗教的情操の基礎を涵養し、「いのちの尊厳」や「思いやりの心」を育むとともに、豊かな人間性の基盤を形成して、「自立的に生きるために必要な生きる力」を養うためには、公平公正な「宗教知識教育」「宗教文化教育」が行われる必要があります。

第2期教育振興基本計画39頁に明記されているとおり、第3期においても引き続き「宗教に関する一般的な教養に関する教育を推進する」ことが重要と考えます。

以上