I 教育をめぐる現状と課題「4.社会の現状や2030年以降の変化等を踏まえ、取り組むべき課題」

平成29(2017)年3月5日

文部科学省

生涯学習政策局政策課教育改革推進室 御中

公益財団法人 日本宗教連盟

理事長 植松 誠

 

【第3期教育振興基本計画策定に向けた基本的な考え方への意見】

 

I 教育をめぐる現状と課題

「4.社会の現状や2030年以降の変化等を踏まえ、取り組むべき課題」

(2)技術革新やグローバル化の進展に伴う産業構造や社会の変化

(4~5頁)について

 

【意見】

4頁に、「2030年頃には、Society5.0や第4次産業革命ともいわれる、IoTやビッグデータ、人工知能等をはじめとする技術革新が一層進展し、社会や生活を大きく変えていくことが予測されている」とあります。

この将来予測は、2015年にオクスフォード大学のマイケルA. オズボーン准教授らによる共同研究で、人工知能やロボット等による代替の可能性が高くなる職業や、代替えの可能性が低い職業として具体的に示され、一部のマスコミでも話題になりました。一方、その共同研究の中で、代替えの可能性が低く、人間にしかできない職業は、創造性を生かした仕事や、効率性や合理性とは無縁な分野の仕事であると分析されています。

こうした社会や労働環境の変化が予測されているのであればこそ、他人の喜びや、悲しみ、こころの痛みなど複雑な感情を思いやることができる、人間味にあふれた「豊かな心」を持つ人材を育てる教育が必要であると考えます。

そういった観点から、公正公平な宗教知識教育や、宗教文化教育をとおして、長い年月をかけて育まれてきた宗教に基づく伝統や文化、生きる知恵などに触れることで、文化的、歴史的価値といった、人工知能などでは生み出すことができないものがあることを再認識することが大切です。また、公正公平な視点から宗教文化についての一般的な知識や教養に触れることが、科学では解き明かせない「超越せるもの」の存在や「人知を超えた真実」に気づく、謙虚な心をもった人材を育んでいくことに繋がると考えます。

以上