臓器移植と生命倫理に関する調査研究の専門機関設置に関する要望書

平成19年3月29日 財団法人 日本宗教連盟
理事長 山 北 宣 久
東京都港区芝公園4-7-4明照会館内

 日本宗教連盟は、「臓器の移植に関する法律」(以下「臓器移植法」)の改正をめぐる問題に対し、平成18年11月16日に「意見書」を発表し、また12 月13日、衆議院厚生労働委員会において参考人・意見陳述を行いました。当連盟は臓器移植法改正問題に関して、国民的議論と意見集約が必要と思料し、「第 2次臨時脳死及び臓器移植調査会」など、臓器移植と生命倫理に関する調査研究の専門機関の設置を要望いたします。
 「臨時脳死及び臓器移植調査会」の答申(1992年1月)から既に15年が経過し、12月13日の参考人質疑では、「脳死」の概念が根底から再検討を迫られていること、また、脳死状態での子どもの蘇生力が富んでいること、さらには移植年齢の引き下げに関して検証する明確な方法がない現状などが明らかにされました。昨年10月初旬には、愛媛県宇和島市で生体間移植による臓器売買が行われていた事実が判明しました。  こうしたことから本連盟は、現在、脳死・臓器移植及び生体間移植が直面している諸問題を解明し、その解決の方途を見出すためには、医学、科学、哲学、法律、宗教、倫理などの専門家による総合的な検討が必要であると思料いたします。
 私たちは、科学の進歩を否定するものではありません。しかし、医療技術の発達が可能とした脳死・臓器移植及び生体間移植という治療法は、他者の臓器の摘出を前提としている限り、普遍的な医療にはなり難く、緊急避難的な治療法、過渡期的な治療法と言わざるを得ないと考えます。
 臓器移植法の改正は、国民の人生観や死生観に及ぼす影響が大きいことから、国民的議論と意見集約を目的とする、「第2次臨時脳死及び臓器移植調査会」など、臓器移植と生命倫理に関する調査研究の専門機関の設置を要望いたします。