鳥取県による宗教法人の財務情報開示について(6)

鳥取県による宗教法人の財務情報開示について(6)―鳥取県からの回答(平成16年4月26日付)(鳥取県総務課及び県民室より)

[宗教法人に関する情報開示について]

 本県の情報公開条例に基づく宗教法人の財務情報開示について、次のとおり回答いたします。

1 当該宗教法人名が公表された場合、その法人とのトラブルを抱えている方が開示請求者ではないかとの推測がなされるとの趣旨です。

2 開示対象となった法人名は、正当な利益を害するおそれがあるとして非開示と取り扱っておりますが、法人名を特定した請求に対しては非開示とする理由がないという意味に過ぎません。
 実質的にも、どの宗教法人の情報開示が行われたかを請求者以外が開示請求する場合と、請求者が宗教法人名を特定して情報を開示請求する場合とを同一に論じることはできないと考えます。
 前者は、法人名の開示により当該法人が何らかのトラブルを抱えていることを請求者に推測させますが、後者は、請求者による公表があり得るからという理由では非開示にはできないのであり、開示の取り扱いを両者で異にすることは矛盾しないと考えます。

3 宗教法人の尊厳という概念は抽象的であることは否定しませんが、権利や利益などの概念は、ある程度抽象性を帯びるのはやむを得ないことと考えます。
 そのような中で、具体的にどのような項目を開示すれば宗教法人の尊厳を損なうのかを判断し、例えば、檀信徒数や宝物等に関する記載が該当するものとしているところです。

4 前段については、法律と条例の条文の文言が同じであっても、制定権者が異なる以上、その解釈運用を異にすることは当然にありうることです。
 後段については、「権利、競争上の地位その他正当な利益」を害するかどうかを個別に審査するに際して法人の種類も考慮するということであり、個別審査の以前に法人の種類に基づいて非開示の決定を行うことはありません。

5 提出を受けた書類の取扱いについての宗教法人法の規定は第25条第5項であり、所轄庁はこの規定に違反しないよう所要の事務を執行することになります。
 なお、同条第3項の規定との関係の問題は、立法政策の問題として解決されるべきものと考えます。
 また、「念頭に置きながら」という文言は、「法第25条第5項の規定の趣旨に違反しないように」との意味で使用しました。

6 県の保有する公文書を条例に従い原則公開することにより透明性を高めていくことが、県政に対する県民の皆様の信頼につながるものと考えており、宗教法人から提出された書類についても特別に取り扱うことはできません。
 宗務行政とは、宗教法人に関する行政事務と理解しており、当然、本県条例に基づく宗教法人情報の開示に係る事務は本県の宗務行政に含まれると認識しています。
 なお、宗教法人法第25条第3項に係る透明性の評価の御質問については、立法政策の問題であり本県はコメントする立場にありません。

鳥取県総務部総務課長 橋本 修
鳥取県総務部県民室長 川口正男

(平成16年4月26日)

以 上

?