鳥取県による宗教法人の財務情報開示について(4)

鳥取県による宗教法人の財務情報開示について(4)―鳥取県からの回答(平成16年3月15日付) (鳥取県総務課及び県民室より)

 本県の情報公開条例に基づく宗教法人の財務情報開示について、次のとおり回答いたします。

1 情報開示の対象となった宗教法人名を公にすることにより、開示請求者の特定につながるおそれがありますし、当該法人が何らかのトラブルを抱えているのではないかと推測させる可能性もあるなど当該宗教法人の不利益となるおそれもあると考えます。
 後段については、御質問のような開示請求者と法人との関係で開示・非開示の判断をするという規定ではなく、開示によりその法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある場合に非開示とする規定になっております。

2 宗教法人については、「当該法人等の権利」には憲法で保障された信教の自由に基づく権利が含まれると考えます。
 法人その他の団体については、公にすることにより「当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益」(鳥取県情報公開条例(以下「条例」という。)第9条第2項第3号ア)を害するおそれがあるかどうかを判断します。判断に当たっては、その法人の特性や記載された情報の内容等個別の事情を十分考慮することとしており、法人の種類によって判断を異にすることはあります。

3 例えば、公益法人に属する財団法人や社団法人については、県の規則(知事の所管に属する公益法人の設立及び監督に関する規則)に基づき県内210の法人が毎年業務や財務に関する書類を県の担当課へ提出しています。また、学校法人についても、私立学校振興助成法に基づき県内26の法人が毎年財務書類を同様に提出しています。また、他にも社会福祉法や農業協同組合法等により、県において関係団体の財務書類を保有しているものもあります。
 これらの法人の提出書類については開示請求があれば、2のとおり「当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益」を害するおそれがあるかどうかを判断した上で決定を行っております。

4 開示・非開示の判断は、宗教法人法第25条第5項の「所轄庁は、前項の規定により提出された書類を取り扱う場合においては、宗教法人の宗教上の特性及び慣習を尊重し、信教の自由を妨げることがないように特に留意しなければならない。」との規定を念頭に置きながら、条例の規定に則って行っております。なお、「権利、競争上の地位その他正当な利益を害する」ものとは、宗教活動の中核をなすようなもので、開示することで宗教法人の尊厳が損なわれるおそれのあるようなものと考えており、例えば、檀信徒数や宝物等に関する記載が該当すると考えております。このようなもの以外については、開示しても「権利、競争上の地位その他正当な利益を害しない」ものと考えます。

5 「県政に対する県民の知る権利を尊重して、公文書の開示を求める権利その他情報公開に関し必要な事項を定めることにより、県の諸活動を県民に説明する責務を全うし、もって県民参加による開かれた公正な県政の推進に資する」(条例第1条)ためには、県民の県政に対する信頼が不可欠であり、そのためには宗務行政も含め県の保有する公文書を条例に従い公開することで透明性を確保することが重要であると考えます。

 なお、財産目録等の開示について、どのような項目を開示すれば、信教の自由や宗教活動の面においてどのような支障が生じるとお考えなのか、具体的に御指摘いただければ幸いです。

鳥取県総務部総務課長 橋本 修
鳥取県総務部県民室長 有田 裕

(平成16年3月15日)
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