平成24年度 年頭所感

「公益財団法人としての活動から」

     公益財団法人日本宗教連盟 平成24年度理事長 芳村正德

 

 

 

謹んでご挨拶申し上げます。

一昨年の東日本大震災と大津波によって被災された皆様、並びに、福島第一原子力発電所の事故により、現在もなお避難生活を余儀なくされている皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、すべての犠牲になられた方々に対しご冥福をお祈りいたします。

日本宗教連盟を構成する教派神道連合会、全日本仏教会、日本キリスト教連合会、神社本庁、新日本宗教団連合会並びに、各団体に連なる宗教法人は、東日本大震災の当日から被災された人々とともにあり、寄り添いながら、現在も支援活動を行っています。

また、本年三月十一日には震災でお亡くなりになられた方々の仏教でいう三回忌を迎えますが、私たち宗教者一人ひとりが、多くのかけがえのない「いのち」が失われたことを決して忘れることなく心に刻み込み、被災された方々の心の平安と犠牲者のご冥福を祈り続けております。

政府は、十年間の期限のもとに平成二十四年二月十日付で「復興庁」を正式に発足しましたが、福島をはじめとした復興の現状を考慮すると、さらに長期にわたることが予測されております。

震災後、各方面による支援活動が行われておりますが、人々とのつながりを考えながら様々な分野の方々とも連携をはかり、そのなかで宗教者や宗教団体にできることは何かをつねに求めながら復興を支えてゆきたいと存じます。

* * *

日本宗教連盟は、平成二十四年四月一日に、公益財団法人に移行いたしました。気持ちも新たに、また、今まで以上に信教の自由の尊重を柱とした「宗教文化振興事業」を推進し、人々の豊かな社会生活の一助となるよう情報を発信しながら諸事業を行ってまいります。

震災後一年目である昨年三月十四日には、「東日本大震災と地域社会の再興」や、「こころに寄り添うということ」をテーマに、第一回目の宗教文化セミナーを開催致しました。

また、十月には終末期医療をめぐる尊厳死の法制化の問題を考える機会として、第六回宗教と生命倫理シンポジウムを開催いたしました。この問題は、個々の存在に関わる重要な問題であり、さらなる議論を深めて、国民的議論を社会に喚起していかなければならないものであると考えています。

シンポジウムやセミナーをとおして、皆様一人一人が、あるいは、周囲の人々との関係の中で、生と死の問題や生命に係る問題を考えるとき、多様な考え方や意見に触れていただくことは、大切なことであり、是非そのような機会をお持ちいただけるよう、活動していきたいと存じます。

関係諸団体並びに、関係者各位には、引き続きご理解とご協力を賜りますようお願い致します。

  (平成24年度『日宗連通信』より)