平成21年度 年頭所感

「新年を迎えて」

財団法人 日本宗教連盟 平成21年度理事長 岡野聖法

謹んで新春のお慶びを申し上げます。

皆様にはますますご健勝にて新年を迎えられましたこと、心よりお慶び申し上げます。 旧年中は、本連盟の諸事業につきまして格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

本年は干支(えと)では、「庚寅」(かのえとら)となりますが、「寅」には「動く」という意味があり、春がきて草木が生ずる状態を表しております。また、「虎」は山々の岩をも登り、勇猛果敢に前に進んでいきます。明るい話題が少ない昨今ではございますが、多くの人々の「寅年」に寄せる思いを胸に、新しい年を皆様とともに歩ませていただきたいと念じております。

さて、本連盟は協賛各団体のご協力をいただき、六十四年目の年輪を重ねようとしておりますが、時代の変化は宗教界にも大きく押し寄せてきております。

昨年の臓器移植法改正に当たりまして、日本宗教連盟は「脳死は人の死ではない」との立場から、「本人の書面による意思表示の確認」など、ドナーとレシピエント双方の「いのちの尊厳」が侵害されることがないように、慎重な審議を関係者に訴えてきました。

また、昨年十二月には「尊厳死法制化の問題点を考える」をテーマに生命倫理シンポジウムを開催し、尊厳死法制化が投げかけている諸問題について、医療、法律、宗教などの視点から検討致しました。本連盟は人々の生と死に関わる諸問題に対して、これからも生命尊重の精神をよりいっそう喚起して参りたいと存じます。

また、本連盟が昭和五十九年十月以来毎年開催して参りました「宗教と税制シンポジウム」は、今年、二十五回目を迎えます。憲法、税法、財政学などの視点から、宗教法人と税制に関する適正な認識と理解を深める活動を四半世紀にわたり重ねて参りました。

このほか、宗教教誨事業への協力など、本連盟の活動は年ごとに増えてきております。そのすべてにわたり、誠心誠意、感謝の真心で社会の平安のために尽くしていきたいと思っております。

本年も格別のご理解、ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

 

(平成21年度『日宗連通信』より)