平成18年度 年頭所感

「新年を迎えて」

財団法人 日本宗教連盟 平成18年度理事長 山北宣久

新年の祝福が皆々様のうえに豊かに注がれますよう心よりお祈り申し上げます。

芥川龍之介が多大の影響を受けた米国の作家アンドリウス・ビアスは「悪魔の辞典」というユニークな本の中で「新年三六五回の失望から成る一期間」と皮肉って見せました。そう言えなくもない現実が重々しく漂う暗さに囲まれているのですが、であればこそ「希望」を紡ぎ出す宗教ならではの歩みを、多様性を生かして展開していきたいものです。

日本宗教連盟は昨年創立六十周年を迎え、盛大な記念式典を催すことができました。関係者各位のご協力を改めて感謝してやみません。

単に行事を終えたということではなく、現代社会に日宗連に関わる者として何をなすべきか使命を各々考えさせられ、平和をつくり出していく使命を再確認できたことにおいて大きな意義がありました。

公益法人制度改革にともなう宗教法人への影響について昨年度に引きつづき、宗教と税制シンポジウムを催すことができました。

また生命倫理の問題をめぐって「臓器移植法改正問題に対する意見書」を厚生労働委員会その他各政党に提出し、国会での参考人質疑にも応じました。引き続き推移を注視せねばなりません。

一方次世代対応として教育の問題に力を尽す責任を持ちますが、三月に創立六十周年記念として「宗教と教育シンポジウム」を開催する予定です。ご参集くださって「いのちを」大切にする教育に宗教が大きく寄与する道へと思いを集結することができますように。

不活動宗教法人対策、宗教法人制度の運用等をめぐって文化庁文化部宗務課と連絡を密にしつつ宗務行政に迅速かつ有効に対応し続けたいとも思います。

引き続き「宗教教誨事業」・「社会を明るくする運動」及び「社団法人青少年育成国民会議」等とも協力しつつ日宗連の存在理由を明らかにしつつ、目的達成に努めたいと新年思いを新たにさせられる次第です。

昨年の「宗教」全国世論調査によると大都市を中心として「葬式は無宗教で」という人が五十パーセントを越えたとのことです。

宗教団体への不信が高まる中で信用・信頼を取り戻していく使命を一段と果たしていく迫りを感じさせられるではありませんか。  共々、日本宗教連盟を通して共通の目的に向けて前進してまいりましょう。

(平成18年度『日宗連通信』より)