第1回 寄附・お布施・献金のキャッシュレス化に関する学習会 【記録】

第1回 寄附・お布施・献金のキャッシュレス化に関する学習会 【記録】

令和1(2019)年8月20日 会場:明照会館

 

近年、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催や、政府の「観光立国」推進などによって、インバウンド消費(日本を訪れる外国人観光客による国内での消費活動)増加の影響もあり、キャッシュレス決済が話題になった。

当連盟では、宗教界でも一部導入されているキャッシュレス化について研究することを目的として、8月20日に「第1回寄附・お布施・献金のキャッシュレス化に関する学習会―利点と問題点、目下の課題の検討から」(於 明照会館)を開催。石井研士・國學院大學副学長・神道文化学部教授を講師に迎え、キャッシュレス基礎や、現状と課などを学習した。およそ20人の宗教関係事務担当者が参加した。

 

キャッシュレス決済には、プリペイドカード、商品券、クレジットカード、デビットカード、電子マネー(交通系・小売系、金融系、IT・通信系)、QRコード、口座振替、口座振込のように様々な手段がある。また、それぞれ決済がいつ行われるかで三つの分類に分けられる。①前払い(プリペイド)のプリペイド型電子マネーやギフトカードなど、②即時払い(リアルタイムペイ)デビットカードなど、③後払い(ポストペイ)クレジットカード、ポストペイ型電子マネーなどである。

石井研士教授は、神社や寺院で実際にキャッシュレス決済を導入している具体的事例について調査を行っており、動画を交えて紹介。導入によるメリット・デメリットについては調査中であるが、メリットとしては、インバウンド対応、賽銭泥棒対策等々。また、デメリットとしては、個人情報の漏えいの問題等が現時点で考えられるということであった。

講義ののち、当連盟事務局長、幹事が石井教授を交えて意見交換を行い、一回目の学習会を閉会した。

 

 

公益財団法人日本宗教連盟

第1回 寄附・お布施・献金のキャッシュレス化に関する学習会 (調査研究・事務局作成記録)

令和1(2019)年8月20日 会場:明照会館

※無断複写等はご遠慮ください。本文引用の場合は出典を明記してください。

 

第4回宗教の公益性に関するセミナー 「持続可能な開発目標『SDGs』入門講座―社会と共に歩む宗教者であるために―」要旨

第4回宗教の公益性に関するセミナー

「持続可能な開発目標『SDGs』入門講座―社会と共に歩む宗教者であるために―」

要旨

 

平成31年3月28日、明照会館(東京都港区)において、外務省国際協力局地球規模課題総括課の甲木浩太郎課長を招請し、持続可能な開発目標「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」入門講座を開催。35人が参加して基礎と概要を学んだ。

 

SDGsについて

持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」は、2015年9月の国連サミットで全会一致で採択。「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする、先進国を含めた全ての国が目指す17の目標。その下に、169のターゲット、232の指標が決められている。

特徴は次の五つ。①普遍性(先進国を含め、全ての国が行動)②包摂性(人間の安全保障の理念を反映し「誰一人取り残さない」)③参画性(全てのステークホルダーが役割を)④統合性(社会・経済・環境に統合的に取り組む)⑤透明性(定期的にフォローアップ)

 

日本政府の取り組み

日本政府は2016年以降、内閣総理大臣を本部長とした関係省庁によるSDGs推進本部を立ち上げ、人間の安全保障の理念に基づいて、国内での取り組みを行うと同時に、世界における国づくりや人づくりの支援を打ち出している。日本国内では、①中小企業とSDGs「Society5.0」、②地方創成とSDGs、そして、③次世代と女性のエンパワーメントの推進を三つの柱として施策を進めている。

またSDGs推進本部では「ジャパンSDGsアワード」を開催して、各種団体の活動と積極的な取り組みを表彰している。

 

持続可能な社会とは

近年日本では、環境、社会、企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資(ESG投資)が盛んになり、それによってSDGsの取り組みが大企業や経済界で促進され、日本社会でもSDGsが知られるようになった。事実、日本企業には千年以上続くものがあり、中小企業も含む、百年以上続いている企業数は世界最多である。これは、日本の企業風土が近江商人の「三方よし」を例として持続可能な経営をしてきたことを示している。

また、日本人の生活に注目すると、生活に向き合う姿勢は、まさにSDGsそのものである。更に、宗教について言えば、自然との共生や誰ひとり取り残さないという思想、災害支援に見られる強固なネットワークの構築なども、SDGsに沿っているといえる。

SDGsは、各国政府や市民社会、民間セクターを含む様々な主体が連携して取り組むこと、そして、実際に「行動すること」が求められている。これからの宗教界の「行動」が期待される。

 

〇甲木氏の講義を受け、聞き手の戸松義晴幹事は、これまでも宗教界では、鎮守の杜を守り育てる環境保護活動をはじめとして、災害時支援や子ども食堂などの「誰ひとり取り残さない」様々な社会貢献活動を行ってきたことを紹介し、宗教界の日々の活動が良い意味でSDGsに位置付けられた、国際社会における宗教界の「行動」が今後も重要となる、と述べた。

 

 

公益財団法人日本宗教連盟

「第4回宗教の公益性に関するセミナー」要旨  (文責事務局)

平成31年3月28日・会場 明照会館

※無断複写等はご遠慮ください。本文引用の場合は出典を明記してください。

 

[ 参照 ]

SDGsロゴは国際連合広報センターホームページを参照

https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/2030agenda/sdgs_logo/

 

外務省国際協力局地球規模課題総括課からのご案内

「外務省×SDGs」ツイッターにて、SDGsに関連する話題を硬軟織り交ぜつつ日々発信している。

 

第6回宗教文化セミナー 「美しき日本の残像―古民家再生と日本再生」講演要旨

第6回宗教文化セミナー

「美しき日本の残像―古民家再生と日本再生」講演要旨

 

平成30年3月30日、神道大教院(東京都港区)において、宗教文化セミナーを開催。およそ60名の参加があった。

講師のアレックス・カー氏は、米国メリーランド州生まれ。1964年12歳で父の赴任に伴い初来日。少年期に体験した日本の美しさと失われゆく現状を国内外に訴え、日本各地に残る美しい風景と文化を、次代へ守り伝えるべく活動を行っている。カー氏は、大本が開催していた日本伝統芸術学苑に参加し日本文化の研究を行い、また、その後は通訳スタッフとして海外の諸宗教との対話にも貢献した経歴があり、日本宗教連盟とも関わりがある。今回の対談を行った田中恆清理事(当時)とも旧知の間柄である。

カー氏は、日本の古民家を再生・活用することで、地域再生の支援にも積極的に携わってきた。氏が見出してきた日本の古き良き景観について、改めて見つめなおす機会となった。講演のタイトルは、カー氏の著書『美しき日本の残像』(1993年、新潮社)に基づいている。以下、要旨を紹介する。

 

講演 アレックス・カー氏

これまで自分は、日本の各地を巡ってきた。日本には美しい山や川があり、町や村には古民家などの織り成す風景がたくさんある。しかし、地域住民は案外その景色の素朴な美しさに気づいていないと思う。

例えば、看板について。町や村に行くと商業的なものや交通安全、「町をきれいに」という看板がたくさん並び、かえって景観を台無しにしている。銀行やコンビニなど商業施設の看板は、古い街並みにそぐわないし、神社仏閣の境内ある「禁煙」などの注意書きの看板も同様だ。景観を損ねないような工夫をするべきではないだろうか。行政機関は、地域の美化や活性化に敏感ではあるが、地域のニーズとは関係なく山の中に奇抜な形の施設を造ったり、不便の一言で、必要性のない道路を新設したり、落ち葉の処理について苦情があると、立派な街路樹も伐採してしまう。山間部に無造作に建てられる携帯電話の基地局も、景観を害するもののひとつである。海外では、景観に溶け込んだデザインの基地局にしたり、数社合同で使ったりといった配慮がある。景観をよくするため進められている電線の地中化に関しては、東京で7%、大阪で5%程度しか進んでおらず、日本は海外に比べて大変遅れている。

近年、日本は観光立国を目指しているが、海外からの観光客が求めているのは、「なんでもない魅力」なのである。それは、交通の便が悪い山間部へ、時間をかけてたどり着いた先にある神秘的な光景であったり、古い土間がある古民家であったりする。そこにまた戻りたくなる景観とはいったいどのようなものなのか。三十年後の景観を考えることが大切なのではないか。

人口減少は全世界的で起きており、時代の波であって抗えない。このような社会では、地方の最後の救い主として、観光(インバウンド)の受け入れを地域の産業ととらえることが有効であると言える。観光に必要な食やレンタカーなどは、地域にあるものを積極的に利用すれば、地域に雇用を生み、経済も還元することができるからである。

残念ながら現在の日本の観光政策は、ただ数をこなせば良いという考えで行われている。しかし、京都市内の観光客増加による様々な懸念を考えると、観光客の受け入れを制限してでも本物を守り、本当に興味を持つ人々に来てもらえる道をとるべきだと提言したい。

【カー氏は、写真で景観を損ねている例と対比し、徳島県祖谷(いや)をはじめ、長崎県小値賀(おぢか)町、奈良県十津川村などにある、古民家を改修した滞在型の観光施設などを紹介した。】

第6回宗教文化セミナーの様子

 

対談

講演ののち、アレックス・カー氏と田中恆清・日本宗教連盟理事(当時)との対談では、両氏の生活の拠点である京都府の観光地化による問題や、海外における景観の考え方などにも触れた。

田中理事はカー氏の講演を受けて、現在の京都市内が、外国人観光客の増加によって、まるで海外にいるような状況であることを紹介。海外では、日本らしさや日本文化に触れたいと考える現象があるのではないか。また、日本人がより便利な生活を求めるのに対し、海外では畳の部屋で布団の上げ下げを行うといった不便さを、逆に求めているのではないだろうか。京都は宗教都市と言われるように寺社仏閣が多く、文化財や文化遺産も多数存在する。訪れる観光客のマナーにも問題があり、神社では本殿に土足で上がってしまうこともあって苦心している。必然的に「看板」が多くなる、と説明。

カー氏は、観光も人が多く混みすぎてしまうと、地域にそぐわない施設ができてしまったりする。京都は急激な観光客の増加に対応できていない。拝観は予約制や入場料を上げるなど、敷居を高くして規制することで守っていく必要もあるだろう。また、日本には「鎮守の杜」というように木に対する神聖な感覚があり、本来の感性を失ってはならないと思う。先ほどの落ち葉の問題も、街路樹など木を積極的に育てる国際的な視点からすれば、木を切ってしまうのは古い考え方だ、と。

田中理事は、日本は、神仏習合など独自の信仰を創り上げてきた。その知恵を使えば我が国が誇るべきものを守っていけると思う。カー氏にはこれからも出版などで大きな示唆を与えてほしい、と述べた。

 

 

公益財団法人日本宗教連盟

「第6回宗教文化セミナー」要旨  (文責事務局)

平成30年3月30日・会場 神道大教院

※無断複写等はご遠慮ください。本文引用の場合は出典を明記してください。

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