このたびの新型コロナウイルスの社会的影響と、政府の支援策について(意見)

令和2(2020)年6月23日

公益財団法人 日本宗教連盟

 

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染は今なお世界的に広がっており、「緊急事態宣言」は解除になりましたものの、いまだ予断を許さない状況が続いております。

この感染症により、闘病されている方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、感染症により亡くなられた方々に衷心より哀悼の誠を捧げますとともに、ご遺族、ご関係の皆さまの心中いかばかりかと拝察いたします。

 

今回の新型コロナウイルス対応に関して、本連盟では幹事会での検討を重ね、各方面に対して以下のような意見を述べてまいりました。

① 当初の緊急経済対策では網羅されない国民が多数いるため、支援から漏れ落ちる人々がないよう検討をすること。また、エッセンシャルワーカーに対しても医療関係者に準ずる優先的な支援をすること

② 国内に約18万ある宗教法人のうち、約7割が家族のみで奉仕し、年間予算規模が500万円未満の零細法人であるため、支援にあたってはその声にも耳を傾けていただくこと

③ 中小企業を対象とする事業が、非課税団体である公益法人にも対象が広げられたにもかかわらず、本来公益法人に含まれる宗教法人だけがその対象から除外されたことへの疑問

④ 信教の自由の擁護や宗教文化の振興、心豊かな社会の形成を担い、地域社会のコミュニティの維持のために重要な役割を果たしている宗教法人が、引き続きその役割を担っていけるようにすること

 

宗教法人は一人一人の信徒・信者によって支えられております。国民が等しく国難に瀕している中で、信徒・信者の置かれている状況を訴え、支援の検討をお願いすることも本連盟の活動として必要であると考えますし、それは宗教法人を特別扱いするものではないと思慮いたします。

その一方で、施策策定の過程において、地域コミュニティの維持という公益目的を果たしている宗教法人が、他の公益法人とは異なり支援の対象から除外されたことに対して、宗教法人のみ特別扱いされるのではという重大な危惧を持っております。宗教法人は法律上公益法人に属し、税制に対しても公益法人税制が適用され、その中で活動をしております。また、文化庁と協力して全国の宗教法人に対して、宗教法人の公益性を訴えており、今後も公共の利益に寄与する事に努めてまいりたいと思います。

上記②にあるように、文化庁の統計では、約7割の宗教法人は零細な運営で担われております。信徒・信者の生活の困窮により法人の収入が激減し、存続すら危うい寺院も多数あり、本連盟に対し、その窮状を訴える法人もあります。そのような宗教法人の切実な現状を各方面に届けることも、私たちの大切な役割と認識しております。

 

今後も日本宗教連盟は、宗教法人の置かれている現状を包括的に受け止め、寄せられる声を真摯に受け止めつつ、本質的な議論を進めてまいりたいと思います。

経緯の記録はこちらの記事をご覧ください。
要望についてはこちらの記事をご覧ください。