平成28年度 年頭所感(平成29年1月)

平成28年度 年頭所感(平成29年1月)

「創立七十周年と新たな使命」

公益財団法人 日本宗教連盟  平成28年度理事長 植松 誠

 

新しい年を迎え、謹んで新春のお祝辞を申し上げます。

旧年中は、日本宗教連盟のために皆様から温かいご協力とご支援を賜りましたことを深く感謝申し上げます。

日本宗教連盟は昨年創立七十周年を迎え、4月には記念式典を盛大に催すことができました。ご協力、ご参列くださいました関係者各位に深甚なる感謝の意を表します。創立七十周年という節目にあたり、日宗連が創立された意義を改めて思い起こし、そして、今、この時代に日宗連に求められている働きと使命について新たなビジョンを持ちながら歩み出したいと願っております。

本連盟が創立された七十年前は、アジア太平洋戦争の終戦直後の混乱期でありました。日本とアジアにおきましても数え切れないほど多くの人々が命を失い、傷つき、深い悲しみを味わいました。本来、人間の命は、神仏から与えられたかけがいのない尊いもので、宗教者はその命を脅かす戦争や暴力、命の尊厳を蔑にする差別や人権無視に対して、敢然と立ち向かわなくてはなりません。日宗連創立の背後には、先の大戦における宗教教団、宗教者のあり方に対する反省と、戦後の混乱期において、それまでの価値観と今後の生きていくための心の拠りどころを見失っていた人々に対して、宗教は人に生きることの意味とその価値を明確に指し示すものであることを改めて表明するという重要な使命があったのではないかと思います。

それから七十年、私たちを取り巻く状況は国内、海外を問わず、大きく変貌いたしました。世界のいろいろな国で、地域で、戦争や紛争が今も続いています。ここ数年は、宗教の名を語る集団が各地でテロを行い、無辜の市民をもその標的にしています。また国内でも宗教カルトや怪しげなスピリチュアリズムなどが跋扈し、人々の間には「宗教=こわい、平和を脅かすもの」などという誤解や偏見が生まれているように思えます。今こそ、宗教が歴史を通して養われたその豊かな精神性と文化をもって、人々の間に、社会に、平和への願いと希望を広めていくことが求められているように思います。

皆様におかれましては、どうぞ本連盟をこれからもご支援いただき、諸活動へのご理解とご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げ、新年のご挨拶に代えさせていただきます。